夢に見た世界 (ページ22)

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少し俯いてみたりページ22

『ん”...まだ夜だよ』

「もう朝だよ」

『え？』

目を擦りながら体を起こす。

誰かとどこかにお出かけしていたような？いや、それも夢なのか。

「いい夢でも見たのかい」

知らないうちに緩んでいた口元を見てそう言われた。

『う～ん...そんな気がするんだけど、思い出せなくて』

誰だったのかな。

「顔洗っておいで」

そう言って部屋を出て行ってしまった。

寝起きのおぼつかない足取りで洗面台まで向かう。

『？』

顔を洗おうと手を出した。

『これなに...？』

両腕の袖から、リボンが垂れていた。

しかも、記憶さえ違わなければ、それは私のスタンドのものだ。

これを見られるのはマズいと、咄嗟に袖の中にリボンを押し込む。

そのまま顔を洗い、袖口を縛って食卓に向かった。

・

『しかし...ふむ』

吉影が仕事に行ったのを確認して袖のリボンを取り出す。

『本当にスタンド？』

もしかしたら、一緒に寝てたキラークイーンの悪戯かもしれない。

そう言えば、スタンドへの攻撃って本体にも影響するんだよね....

チキチキ、と、カッターナイフを取り出す。

『え、えい！』

ぴゅっと端っこを1㎜くらい切った。

『いてっ...！』

ちゃんと痛い。見ると、小指辺りに同じような傷がついている。

これは、私のスタンドだ。

抑えられなくなってきてるってこと？だって今までこんなこと起きたことなかった。

ふと、メモの存在を思い出す。

『いや、まだ...大丈夫だし』

手をきゅぅと胸の前で握る。

崖の端っこにつま先立ちで立っているような不安だ。

一歩踏み出してしまったら戻ってこれないと、確信めいて何か胸中に渦巻いている。

『今日は冷蔵庫のあり合わせで晩御飯を作ろう』

・

次の日、リボンの本数がました。

このままじゃあバレるのも時間の問題か、と悟ってしまう。

言おうかな。

承太郎さんに話しちゃおうかな。吉影に相談してからの方がいい？

『どうしよう』

携帯に手を伸ばす。

『...っ』

大丈夫、まだ隠せる。

リボンを袖の内に隠して自室を出た。