夢に見た世界 (ページ20)

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懐かしの記憶ページ20

『ん"...まだ、夜だよ』

身体を強くゆすぶられて目が覚める。

うっすら目を開ければまだ真っ暗で、朝日すら差し込んでいないのだ。まだ寝てたいよ私は。

それでも起きてとさらに強く揺すぶられ、流石に観念して体を起こした。

『どうしたの...？ここどこだろ』

目が覚めてきて周りを見渡せばそこは布団の中なんかじゃあなくて、全く知らない場所だった。

よく見れば、昔の杜王町にも似ているような気がする。私が小さい頃の町並みに。

しかし、なんでこんなところに...

「...！！」

『ん？』

服を引っ張られてはじめて気づいたが、何故かキラークイーンも一緒に来ているみたいだ。さっき起こしてくれたのは貴方だったのね。

不安そうに私の服の端を掴んでいた。

『大丈夫だよ。私いるからね』

そう言って手を繋ぎなおす。

『そう言えば』

承太郎さんのスタンドは時間を止められてたみたいだけど

『貴方は何かできたりする？』

コクンと頷いて近くの車を触って帰ってきた。

「！」

『？』

ぐいぐいと引っ張られ車から引き離された後だ、ジャスチャーでスイッチを押すみたいに手を動かしていた。やれって事かな。

...凄まじい轟音が鳴り響いた。

爆風と、それに巻き上げられた炎が私達を襲う。

『...うん。ありがとう。でももうこれは使わないかな』

なんか無垢な子供特有の残酷さによく似た何かを感じたな。

人が周りにいなかったのが不幸中の幸いか。

...なんでいないんだ？

夜と言っても、数人は町を彷徨いていたっていいものだ。

さっきの爆発で、近隣住民が起きてきたっておかしくないのに。

『...そういえばなんでさっき、熱くなかった』

様々な思考が飛び交う。そこから考えだした答え。

『夢...なのでは？』

昔に戻った杜王町、人のいない街路、痛みを感じない体。

もう確実に夢じゃないか。

『この町を歩くのも悪くないかも』

途端にスカスカになった脳は今、夢の世界を楽しむことにしか働かなくなった。

『一緒に行こう！』

「？？、？！」

何もわかっていない様子のキラークイーンの手を引いて、夜の杜王町を歩きまわることにした。