夢に見た世界 (ページ17)

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とうにしってるページ17

肩を貸してもらいながらひとけのない場所まで歩いた。

『そろそろ教えて貰えませんか』

「...スタンドは知ってるか」

『...やっぱりあなたはスタンド使いでしたか』

この前彼のスタンドを見た、そんなことはとうに知っている。

「ああ。時を止めなければ間に合わなかっただろう」

『そんなことできるんですか』

「まあな」

なんて飄々と答える。

本当に時間止めてたのか...あの時も思ったが、中々侮れない人だ。

「本題に入るが、君にもそのスタンドの素養があるかもしれないと言う事だ」

吉影に言われたことを思い出す。私にもスタンドがいるかもしれないという話。

「調べてみたところ、君の血縁者の中にスタンドを使える者がいたようだ。それが君に遺伝してきている。それにさっき、微かにスタンドの像が見えた」

スタンドって遺伝するのか...一番の驚きだ。

となると、さっきのリボンの切れ端みたいなのは私のスタンドの一部なのか。

「問題はスタンドを制御しきれないことだ。死因は様々だが、自分のスタンドに殺されてしまうことも珍しくは無い」

『そうなんですか』

「...慌てたりしないんだな」

『そう言えばそうですね』

そうあっさり答えた。

「ただの発熱だったら何とでもなるが、君みたいに意識に障害が出てくると生活をするのも難しい」

「誰かに頼り切らなくてはいけなくなるかもしれない」

その一言で一気に現実に引き戻される。

『そう、ですよね』

私一人の問題ではないのかもしれないな...

「まあ、いざって時は連絡してきてくれ」

さらさらっとメモを書いて私に渡す。

そこには電話番号と他に、"空条承太郎"と言う名前が入っていた。

『今日はありがとうございます。これからもお世話になるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします』

『えっと...承太郎、さん』

「ああ」

と、彼はほんの少し嬉しそうに笑う。

その場で深くお辞儀をし、そのまま歩き出した。

『あ！』

ふと何か思い出したように立ち止まって、

『私、御星守Aと言います！』

と、さけんだ。

距離があるから聞こえるか不安だったが、彼の口元が動いているのを見て、安心してまた歩き出した。

・

微笑みながら自分の名前を叫ぶ彼女を見て思う。

＿そんなこととっくに知ってる、と。