夢に見た世界 (ページ16)

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なんだったんだあれはページ16

『今日っはじゃがいも潰しってポテサラ～...』

と、誰にも聞こえないような小さな声で口ずさむ。

なぜなら、大きなじゃがいもをとんでもなく安く買えて、とても機嫌が良いからなのだ！

『ポテサラっポテサラ～...お？』

ぶどうヶ丘高校の制服を着た人達が通りすがって行くのを見て、もしかしたら仗助に会えるかもしれないと、咄嗟にそう思った。

人の流れに逆らって歩いていた。すると突然目の端にリボンの切れ端のようなものが見えた。

ふと目に映った、そのぼやぼやとした残像にどうしても惹かれてしまった。

自分でもなんでかわからないけど、急にそれ以外見えなくなった。ただ一つ理由を見つけるなら、夢にあんな子が出てきたような気がする。それくらいだった。

『まって』

リボンを掴もうと手を伸ばす。

手荷物がばらばらと地面に落ちていくのにも気づかなかった。

どんなに走っても追いつけない。足が動いている感覚がしない。なんなら沈んでいくような気さえする。

それでも必死に追いかけてやっとつかんだと思った時。

「あぶない！！」

そう誰かが叫んではっと気づいたときにはもう遅くて、目の前には大型トラックが迫って来ていた。

瞬間、今までの思い出が映画のフィルムみたいに繋がって頭に浮かぶ。これがいわゆる、走馬灯なんだなとのんきに考えていた。

でもなんで...

私の知らない記憶ばかりなんだろう?

・

『あ...れ』

轢かれたはずなのに痛みが無い。

「大丈夫か」

聞き覚えのある声だった。

自分は誰かに支えられてるようで、頭上を見るとカフェで遭ったあの人だった。

『すいません、支えて貰ってしまって...わっ』

自分で立てると思っていたが力が入らずそのまま地べたに座り込んでしまう。

「気をつけろ。あまり無理はしない方がいい」

『は、はい』

腕を引っ張り上げられて立たせてもらう。

そう言えば

『どうやって助けてくれたんですか？』

あんな状況で私を助けたなんて、"時間を止める"くらいの神業じゃないと無理だ。

「話そう、君にも関係のある話だ」