婚約破棄 31日目。 ページ33
Aside
パーティーは終了の時間を迎えた。
別れの挨拶を数多くの人に笑顔で告げて、家の車まで玲王と歩く。
『…今日の神崎家の令嬢との話、どうだった?』
「ああ、商談に関することだったよ。神崎家とは今後ともいい取引が出来そうだなって思った。」
『そっか。』
大して気にもとめてないと分かる表情と声。
私が心配してたことは起こらなかったと考えてもいいかもしれない。
私の車の前に来て、私たちは止まった。
『今日はありがとう。また明日、学校で。』
「おう。」
運転手が開けてくれた車に乗り込もうと背を向ける。
ちょうど2歩歩いた時、
「A、ごめんちょっと待って。」
と、玲王が私の右腕を掴んだ。
驚いて振り返った私を何か言いたげな瞳で私を見つめる玲王。
「A、あのさ」
続く言葉を待っていた、その時。
御影母「あら、玲王とAちゃん」
声が聞こえた時、どくん、と心臓が大きな音を立てた。
振り返れば玲王のご両親がお二人とも柔らかな笑みを浮かべている。
御影母「Aちゃん、今日は玲王のパートナーとして出席してくれてありがとう。これからも玲王のことをよろしくね。」
御影父「Aさんももちろん、北桜家にもいつも感謝している。私からも、今後ともよろしくお願いしたい。」
『…はい、こちらこそどうか今後もよろしくお願い致します。』
___正直、涙が出そうだった。
私に笑いかけてくれているその笑顔も優しさも、嘘だと知ってしまったから。
私を認めてないと知らなければ、話をたまたま聞かなければ、どんなに良かったか。
嘘だと知ってるからこそ辛い何かがあった。
「……A?」
心配そうな瞳をした玲王。
何でもない、という意味を込めて笑ってみせる。
認められなければ。
もっと完璧にならなければ。
__玲王の隣にいたいのなら。
____
_________
御影母「今日、神崎家のご令嬢とお話したのでしょう?どうだった?」
「どうも何も、普通だったよ。」
御影父「そういう割には、笑顔でよく話してたじゃないか。
私達は玲王とご令嬢、相性がいいのではと思ってたところだ。」
「…何が言いたいんですか。
……まさか、変なことAに言ってないですよね。」
何言ってるんだ言う訳がない、と2人は困ったように笑う。
___何かがひっかかる。
((…まさか!?…いや、決めつけるのはまだ早い。
予感が外れるのを願うしかない。))
心のざわつきがどうも落ち着かなかった。
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ゆりと白鳥(プロフ) - 咲夜さん、コメントありがとうございます!どうかこの作品を最後まで見守っていただけたら嬉しいです! (7月17日 20時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (7月16日 20時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆりと白鳥(プロフ) - 桜木清次さん、コメントありがとうございます!そしてあたたかいお言葉嬉しいです!どうかこれからもこの作品をよろしくお願い致します! (5月18日 8時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
桜木清次 - コメント失礼します!この作品とても好きです!!続きが気になりますが、無理のないペースで頑張って下さい! (2023年4月6日 20時) (レス) @page14 id: f838235576 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりと白鳥(プロフ) - かいさん、コメントありがとうございます!!終わった時も好きな作品だった、と言っていただけるよう頑張ります!これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2023年3月15日 21時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりと白鳥 | 作成日時:2023年3月7日 12時