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婚約破棄 23日目。 ページ25

Aside


頭で考えるよりも書いた方が冷静に考えられる私は、1枚のルーズリーフに神崎家についてまとめていた。





神崎家といえば、そこそこの大グループだ。

子供達に対しては優秀なひとつの才能を伸ばし、全国、世界へと実力を持つ人に育て上げている家である。



噂の令嬢の才能は、確かフルートだったと思う。






((私も何か1つ、突出した才能があれば…。


…いやいや、これじゃ対抗心燃やしてて、神崎家意識しまくりな奴じゃない。))





意識せず書いていた"才能"という字に慌てて二重線を引く。





はぁ、とひとつため息をつけば、「Aー」と私の名前が聞こえ、机に影が差した。



顔を上げれば、そこに居たのは凪だった。





『凪。どうかした?』




「ん、英語の教科書貸してー」




『英語ね、いいよ。ロッカーから取ってくる。』




「ありがと」






____
__________






ロッカーへと行ったAの背中を見つめる。



いつもとは違う、何かを隠してる時の表情をしていて、密かに首を傾げる。




((…なにかあったのかな。))






別に無理に聞く必要はないか、と思った時、
窓から風が吹いて、ルーズリーフがひらりと舞って床に落ちた。






((…あ、Aの。))






俺はしゃがんで、拾おうと手を伸ばした。


その時に、文字が数行見えてしまった。








"神崎家令嬢 フルート"が丸で囲まれ、


"才能"に二重線が引かれ、



そして、隅っこに小さく書かれている





" どうすれば玲王につり合えるんだろう "








俺は思わず伸ばしかけた手が止まる。




ハッとしてすぐ拾い、飛ばされないよう教科書の下へと挟んだ。


幸いAは今ロッカーを閉めたところで、見られてはいなかったようだ。









……正直、ここからどうやって英語の教科書を借りてクラスに戻ったのか、覚えていない。




あまりにも俺の頭は、Aのあの一文(・・・・)でいっぱいだった。







箇条書きに書かれていたメモ中で、唯一の隅っこ。


思わず書いてた、というような、いつものAからは考えられない小さな丸文字。


淡々と事実だけがあったメモの中で、たった一つの感情が滲む言葉。








((…俺には玲王やAの家のような、金持ちの家の"普通"は分からないけど、



相手と"つり合う"ようにならなきゃダメなの?




それって……。













ま、いいや。考えるのめんどくさい。





でも、なんだろこの気持ち。))









__心の奥が、モヤッとした。






.

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ゆりと白鳥(プロフ) - 咲夜さん、コメントありがとうございます!どうかこの作品を最後まで見守っていただけたら嬉しいです! (7月17日 20時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (7月16日 20時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆりと白鳥(プロフ) - 桜木清次さん、コメントありがとうございます!そしてあたたかいお言葉嬉しいです!どうかこれからもこの作品をよろしくお願い致します! (5月18日 8時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
桜木清次 - コメント失礼します!この作品とても好きです!!続きが気になりますが、無理のないペースで頑張って下さい! (2023年4月6日 20時) (レス) @page14 id: f838235576 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりと白鳥(プロフ) - かいさん、コメントありがとうございます!!終わった時も好きな作品だった、と言っていただけるよう頑張ります!これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2023年3月15日 21時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆりと白鳥 | 作成日時:2023年3月7日 12時

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