婚約破棄 22日目。 ページ24
Aside
"最初からもう一度始める"
そう決めたあの日から、1ヶ月後。
私は玲王と、結構仲がいい友達、くらいの関係になった。
クラスメイト「Aちゃん、御影くんが呼んでるよ。」
『分かった、ありがとう。』
廊下にいる玲王と目が合った。
参考書を手に持っているから、きっと返しに来たんだろう。
私は席を立って、玲王の所へ向かった。
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「悪いな、今大丈夫だったか?」
『うん、大丈夫。』
「参考書返しに来た。ありがとな。」
『どういたしまして。
玲王、相変わらず返すの早いね。もっと借りててもいいのに。』
「そうか?
でも、それ言うならAも早いぞ。」
こんなふうに、ほぼ毎日私達は話して笑い合っている。
思い返せば、一ヶ月の間で気まずい時はあまりなく、すぐにいつもの私達になっていた。
この関係の全ては、玲王のコミュ力の高さゆえだ。
「あ、A。来週の○○日のパーティー、参加で大丈夫か?」
『うん、大丈夫。』
来週、御影家の取引相手の家、
私は玲王のパートナーとして参加する。
"参加"と言えば簡単なことだが、この財閥の世界で言い換えれば
玲王のパートナーとして相応しいかの評価がつけられ、そして北桜家で参加するのは私だけな為、家の代表としての役割がある。
何か下手をすれば、私が北桜家に泥を塗ってしまうかもしれないし、それに加えて玲王の名も傷つけてしまうかもしれない。
私達は常にそういう世界で生きているのだ。
だが私は幼い頃から立場上、プレッシャーの多いパーティーに参加したことは、山ほど経験がある。
いつまで経っても緊張はするが、いつも通りに頑張ろう。
…そう思っていたのだけれど___。
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柚「……神崎?それって御影家と繋がりがある、あの神崎家?」
柚とお弁当を食べながらパーティーの話をしていたのだが、柚はお箸を止め、私に真剣な顔を向ける。
『うん、そうだけど…。
柚、神崎家がどうかした?』
「うん…噂ではあるんだけどね。
神崎家が御影の婚約者の座を狙ってる、って最近耳にして…。」
『…え、』
「…でも噂だし、確証がない。あんまり気にしなくていいと思うわ。」
『…うん、そうだよね。ありがとう柚。』
私はそう言って笑ったものの、心のざわめきは大きくなるばかりだ。
__この気持ちは、その後も長い間抱えていくことになる。
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ゆりと白鳥(プロフ) - 咲夜さん、コメントありがとうございます!どうかこの作品を最後まで見守っていただけたら嬉しいです! (7月17日 20時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (7月16日 20時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆりと白鳥(プロフ) - 桜木清次さん、コメントありがとうございます!そしてあたたかいお言葉嬉しいです!どうかこれからもこの作品をよろしくお願い致します! (5月18日 8時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
桜木清次 - コメント失礼します!この作品とても好きです!!続きが気になりますが、無理のないペースで頑張って下さい! (2023年4月6日 20時) (レス) @page14 id: f838235576 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりと白鳥(プロフ) - かいさん、コメントありがとうございます!!終わった時も好きな作品だった、と言っていただけるよう頑張ります!これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2023年3月15日 21時) (レス) id: 828f7fac15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりと白鳥 | 作成日時:2023年3月7日 12時