苺精神病院

10話　叶わない夢 ページ11

桃視点
莉犬はやっと落ち着いたか。

り「ごめんなさっ…ｸﾞｽｯ」

さ「俺も。気付けなくてごめんな。さ、戻るか。」


部屋に戻る。

すると、ころんのベッドの上に紙切れがある事に気付いた。

さ「なんだ？屋上……は！？屋上！？」

る、り「え！？」

まさかあいつ…飛び降りようとか……

俺は急いでスマホを取り出し、なーくんにLINEを入れる。

そして、屋上へダッシュした。

何年ぶりだろう。
こんなにダッシュしたのは。


階段を駆け上がり、扉の前に着いた。

………なんだ？この声…

こ「今アイラブユーで始まる僕らをー…」

ゆっくりと扉を開ける。

あの歌上手の正体はころんだった。

あいつも歌好きなのか。


こ「あいをうた……ﾋﾞｸｯ！えっ！？」

あ、ガサガサに戻った。

さ「お前、歌うの好きなのか？」

こ「うん……夢……歌い手だからっ…」

そっか、夢は歌い手………ん？喋った！？ついに俺ともっ！？

さ「いい夢だな。きっと叶うよ。」

こ「いやw叶わないよ。だって歌えない体になっちゃったんだもんw」

さ「そんなことない。好きって気持ちと、諦めない気持ちがあればなんだって叶う。」

そうだ。俺だって、なーくんだってジェルだって、裏では歌い手だから。
諦めなければなんだって…

こ「……そうなの？」

さ「ああ。じゃ、一緒にゴーストルールでも歌うか？」

こ「うん！」




紫視点
実は扉越しからずっと話聞いてたw

さ、こ「メーデー僕とわかってもーー」

ふたりとも凄い歌上手い。
ころんくんも、絶対に歌い手になれるよ。

その時だった！

さ「ころん！？」

え…？

ガチャ！


こ「ｶﾊｯ！ﾋｭｯﾊｯﾋｭｰｯﾊｱｯ、ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ、」

喘息だ！

な「はい、吸入だよ。大丈夫だからね。」

こ「ｽｰｰｯﾊｧｰ、ｹﾎｯ」

さ「ありがとう!なーくん！」

な「全然いいよ！ころんくん。大丈夫？」

と、顔を覗き込む。
すると、ころんくんは泣いていた。

こ「やっぱり、、歌えなかったｯ…ｸﾞｽｯ、夢は叶わない…諦めるしかないんだっ！」

俺たちは、何もできずにただただ立ち尽くすしかなかった。

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