文豪から愛しい貴女へ

蘇る記憶のカケラ <蘭堂> ページ10

秦弓月さんリクエスト

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蘭堂said

走馬灯のように……いや、走馬灯が私の頭を過ぎった

それは、母国に残した娘の記憶だった

そうだ……私には一人娘がいたのだ

名前は確か……A、だったか？

「パパ！」

「A……楽しいか？」

「うん！」

ああ、そう言えば君は私が持ち上げてくるくると回してやるととても喜んだな

「パパ……行ってしまうの？」

「ああ……どうしても行かなければならないんだ」

そうだ、私は娘を置いて此処に来たのだ

最後に会ったのは何年も前なのだろうか

……ずっと一人にさせてしまっていたのか

寂しい思いをさせてしまっただろうな

ふと、娘の姿を思い出した

私に似た子だった

寒がりでは無かったな……

私の誕生日には耳あてをくれた

だが小さすぎて私は入らなかったから家に飾っておいた

次から次へと懐かしい思い出が私の中で交差するが、一瞬止まり

「……もう、会うことはないのか」

そう実感した

可哀想に、私に親族はいないと言うことになっているから私が死んだなんて知らないまま待っているのか

……娘よ、本当にすまない

そう思いながら私は目を閉じた









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蘭「リクエスト嬉しかったぞ……ああ、寒いな。よかったら一緒に温まるかい？」

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