文豪から愛しい貴女へ

雨が止む日 <太宰治> ページ28

紅花さんリクエスト

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四年前、彼は私の前から姿を消した

最年少幹部、太宰治

ポートマフィアの為に生まれた男と言われていたが私は違うと思った

優しくて、でも幼げで、玩具を欲しがるように死を望む

見ていられなかった

何度も川に飛び込んだり紐を切ったり薬を没収したり

側から見れば馬鹿馬鹿しい事を、飽きもせずやっていたのは

私が彼を想っていたからかもしれない

四年経ってもその想いは変わらなかった

でも、彼はそうは想ってないだろう

_____雨が降り始めた

傘を持ってきていなかったので急いで店の軒下に入る

「傘を忘れたのかい？」

「ええ、うっかりしてしまって……」

「そういう所、変わらないね」

そう言われて隣を見る

「太宰……くん」

「久し振り。一寸背が縮んだ？」

「太宰くんが高くなったんだよ」

「ああ、そうかもね」

そう言う彼の手には傘があった

「良かったら、送るよ？任務が終わったようだしね」

「……じゃあ、お願いするわ」

そう言えば太宰くんが傘をさし私よりにさす

「……ねえ、雨が止まないね」

「本当ね……」

「そういう意味じゃないよ」

そう言われて首を傾げる

「二人で調べたじゃないか一緒に。月が綺麗ですねみたいな言葉」

そう言われて思い出す

「……え、太宰くん！？」

「何？」

「つ、つまりそういう事……？」

「ふふふ、雨が強くなってきたから傘をささないとねぇ」

「……っ、本当に？」

そう言えば頷かれ優しく笑われる

「ずっと前から好きだよ」

「……今は雨空でも晴れれば星が綺麗ですよ」

「本当かい？」

「はい……好き、です」

そう言うと、太宰さんが人の多い方に傘を向けて

他の人に見えないようにキスをする

「君のその赤い顔、他の人に見せたくないからね」

「っ……濡れちゃいますよ！」

そう言えば笑いながら傘を元に戻し

「さ、行こうか」

そう言って歩き始めた







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太「リクエストありがとう。因みに三つの意味は判ったかい？“雨が止まないね”が“もう少し側にいたい”
“雨が強くなってきたから傘をささないと“が”私の想いが大きくなってしまった“
”今は雨空でも晴れれば星が綺麗ですよ”が“実は、私もあなたを想っていました”だよ。間違えていたらごめんね」

一瞬の油断 <太宰治>→←羞恥心なく <宮沢賢治>

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