幼なじみは鈍感な向井くん。【橙】

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子供の頃、Aがずっと俺の後を追いかけてくるのが面白かった。


お互い思春期に入って、少し距離が出来てなんや右肩がスカスカして寒いな〜って思うようになった。


たまに友達がAの事を話してたら違和感を感じて眉を潜めた。


『 付き合ってください』って言われて、この子ええ子やしせっかく告白してくれたし、好きとかわからんけど付き合ってみたら何か変わるかなって思うて付き合ってみた。


けど四六時中彼女で占領されて、Aとの距離が開くほど違和感は大きくなっていく。


その違和感に気付くこともなく俺は大人になって、久しぶりの同窓会でAを見た時……俺、なんて思った？


黒髪やったのがほんのり茶色に染めて、制服以外のスカートなんて履いてなかったやつがワンピースなんか着て。


照れ臭そうにはにかんで笑うAを見て俺は…………









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「……まじかぁ、なんで気付かんかってんやろ」



俺はあの時、綺麗やなぁ…て見惚れたんやった。


んで他の男にそんな可愛い笑顔見せんなやって。









「ふ、やっと分かったの？」

「なあ、舘…俺ってめっちゃ鈍感なんかもしれんわ」

「しれないじゃなくて、鈍感なんだよ」





ぬあああ！！

あかんて！ほんまにあかんやつやこれは！


自分の鈍感さに呆れながら、昔 分からなかった違和感にようやく気づいた俺はボボボと顔に火が点いて暑い。



こんな感情ぶっちゃけ知らん。




「早く連絡してあげな」

「でも…」




このままで良いわけないでしょ？て。


うん、良いわけあらへん。





「ごめん舘。俺、もう行くわ！」

「はいはい、これ飲んで行きな」

「お、ありがと！」




酔い醒ましにとくれた水を一気飲み。


お金を置いて「釣りはいらんで！」と決めてみたけど、「足りないけど」って。


「…………」


慌てて財布出したら「いいよ」と手で制されて「次は二人で来てね」なんて言われて、思っきり頷いた。


なんてええ奴やねん、舘ぇぇぇぇ！！




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