幼なじみは鈍感な向井くん。【橙】

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いつどのタイミングで告白ってすればええの？


ありがたいことにこれまで告白ってした事がない。

いつも相手から来て、そして振るのも相手からやったから。




いざ自分が言う側になって、告白って思ったより精神的に大変なことなんやってわかった。








「お風呂ありがと」

「…おう。なんか飲むなら冷蔵庫適当にみて」

「ん」


タオルで髪を拭く私の隣をするりと通り抜けて行く。

康ちゃんもお風呂入るわな。




冷蔵庫を開けて中にあった缶チューハイを貰うことにした。



「いただきます」と蓋をあけてグビっと呑み込むと、シュワワと炭酸が喉を通ってスカッとする。



テレビ……集中できんよ。


缶チューハイが中身半分くらいになった頃、康ちゃんはぶかぶかのTシャツにグレーのスウェット姿で私と同じように髪を拭いながら冷蔵庫を開けた。




「乾杯」



康ちゃんはハイボールを口につけて一気に半分くらいまで呑んで「ぷはー！」と息を吐いた。



「おつかれさま」

「おう」

「仕事…順調なん？」

「まあな。周りの人に助けてもらいながら上手くやれてる思うわ」




ベットに背を預けて二人、話す内容はいつもと変わらない。


なのにドキドキと煩い心臓。





「…なあ、」

「ん？」

「ほんま悪いけど、この部屋お客さんようの布団ないねん」

「うん」




ガシガシとタオルで髪を拭うのをやめて、一瞬の静寂が二人を包む。




「……俺と、寝ることになるけどええか？」

「……う、うん。ええよ？」

「……そうか」



何杯目かのお酒を空にして、私はこの空気を打破しようとベットにゴロンとした。


康ちゃんに好きって伝えたいけど、やっぱり久しぶりに会ったんやから楽しみたいやん。




「康ちゃん、康ちゃん！」

「なに？」



テレビから目を反らさへん。

なんでよ？

膨れた頬でブー垂れる私を知ってか知らずか「なんなん？」と、聞く声は優しいから許したるわ。



「ここ来て！ 久しぶりにマッサージしたるよ！」

「へ？」


大阪におる頃はお互いに凝ったところを交代でマッサージしてたから、康ちゃん喜んでくれるかなって。


だからベットをぽんぽんしたらやっと振り返ってくれた。



けれど何故か見上げる視線は不服を訴えているように思えた。



なんでなん？



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