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彼女と鏡の話−15 ページ42

茫然とした面持ちのまま、私はふらりと立ち上がる

ふと目を向けた先には鏡のよこにある窓が
そこからは雪が降っているのが見えて…

雪…?

ハッとして、校舎内にある時計を見る

時計は6時33分を指していた

「なっ…!」

あの時刻が合っているならば
私はここに2時間もいたことになる

おかしい、そんなに時間が経っているはずがない

わけがわからないまま昇降口まで向かった

そこで、

「結衣ー!
 なんでこんな時間までいるの?
 とっくに帰ったかと思ってたよー」

部活終わりらしい玲と会った

部活終わりという事は、6時半くらいであることは間違いないようだ

「結衣、1人なの?
 こんな時間までいるなら誰か待ちだと思ったけど…」

玲が辺りをキョロキョロと見回して問う

私は反射的に

「優希と一緒に帰ってた、けど、、、」

言っていて、その優希はもういない事に改めて気づかされる


玲が何が不思議なのか首をひねった

「優希?誰?」
「え...」

本気で誰なのか分かっていない様子の玲

名前と顔覚えのいい玲が1年以上一緒の優希を忘れるはずがなかった

考えられるとしたら、あの子に鏡の世界に連れ込まれたことが原因か…

そこまで思考がいって、私は悪い予感がした

靴箱を見る

ずらっと並んだ靴や上靴

その中に、優希の上靴がなかった

いや、厳密に言えば優希の靴箱だった場所に別の人の靴が入っていた

まさか、、、

私は嫌な想像をした

つまり、皆の記憶や記録に優希の存在が残っていないのではないか…と


遠くの方からやけに明確に啼き声が聞こえた



―――ニャァ、と



私はそれをこの怪談の終わりを告げるものだと直感した



・・・

休日
私は何かに急かされるようにして、調べ物に没頭した

私の想像はおおよそ間違いではなかった

厳密には、優希の記憶や記録には残っているものの、
その存在感が薄すぎるのだ

だから皆は優希のことを思い出しにくいし、優希の記録を探してみても見つかりにくい

『あの子』の事も、彼女が飛び降りた話がかなり調べないと出てこなかったし、
そして、あんなに調べたのに彼女の名前がわからなかった

その代わり『あの子』の対処法が解った
『あの子』が映った鏡に鏡を向けるという、
学校の鏡の設計を解った時点で思いついてもいい簡単な方法だ


・・・

私は自室の窓から雪の降る世界を見た



私は、優希をあの鏡の世界から、、、、助ける



あの時出来なかったことを今度こそ絶対に―――――

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設定タグ:黒猫 , オリジナル , ホラー   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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寒極氷化(プロフ) - とらさん» いやぁ、CMみたいな猫だったら私は嬉しいですけどねww それに、ガン付けている黒猫も可愛い!!!! (2014年6月10日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - それでも黒猫のよく顔を見た人によれば「ガン付けてる」とのこと、確かにシャムとかよりもきつく見える、CMみたいな「鯛食べたい」との要求はないが(笑) (2014年6月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - とらさん» それはすごく羨ましいしですね! 私なんか、何回逃げられたことか…(T_T) (2014年6月9日 18時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - 確かに黒猫の不吉な噂は聞きますが自分にしてはその辺にいるただの猫ですね、黒猫に何回絡まれてきたのやら (2014年6月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - アリスさん» ホントですかっ 自分ではどうもそう思えないので、そう言ってもらえるのは嬉しいです (2014年6月2日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/  
作成日時:2013年11月10日 0時

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