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彼女と鏡の話−12 ページ39

「しかしまぁ、この校長もよくこんなオカルトな坊さんの話を信じて、
 しかも冊子に残すなんてことしたわね…」

玲と別れた後、
人気のない通学路で校長室から盗…借りた冊子を広げながら私は家へと歩く

歩き慣れた道なので何かにぶつかるなんて事はない

さて、あの子を何とかする方法はないのかしら?
…いっその事、この坊さんに会えたらどんなにいいか

考えていると、家に着いていた

私は学生カバンから鍵を取りだす

両親は共働きなので家にはいない

だから必然的に鍵を持つことになった

扉を開けるとともに、固定電話の鳴る音が私の耳に飛び込んできた

誰だろうと、カバンを置き受話器を手に取る

「もし、」

電話での常套句を使おうとしたら、
受話器から聞こえるかすれた声がそれを遮った

『結衣…助けて…

 あの子が家にも現れたの…』
「優希!? 現れたって…」

頭の中で優希の言ったことを否定する言葉が浮かぶ

ありえない、と

なぜならあの子は学校にしか現れないはずだからである

あの子は校舎内を写す校舎内にある鏡に映った訳であって、
それ以外の鏡にあの子が現れるはずがないのだ

「待ってて、今そっちに行くわ!」

優希の返事を待たず、受話器を乱暴に戻すと
制服姿のまま鍵と冊子を持って家を出た

・・・

私と同じ理由で親がいない優希の家の中

「いないじゃない、あの子」
「いたよ…!さっき結衣の目の前の鏡に現れたでしょ…」

私は頭の中にこの状況に対する仮説を2つ立てた

1つ目は本当にあの子が家にまで来て私には姿が見えないようにした

2つ目は


―――追いつめられた優希が鏡にあの子の幻を見るようになった

どちらの可能性も考えたくはない

黙り込んだ私に優希が告げる

「私、明日学校に行くよ…
 結衣がいるから、あの子をあまり見ずに済むもん」
「そ、それは、、」

迷った
でも本人が決めたことだし、それにそれで安心できるならそっちの方が…

私はこの思いがあの怪談のせいで予想以上に疲れた事から出る
自分が考えるのを放棄する言い訳だと気がつかなかった

私は賛成の証にうなずいて見せた


「…じゃあ私、頑張るね
 結衣があの子をやっつけてくれるまで!」

優希の言葉が私の心に重荷のように圧し掛かった

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設定タグ:黒猫 , オリジナル , ホラー   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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寒極氷化(プロフ) - とらさん» いやぁ、CMみたいな猫だったら私は嬉しいですけどねww それに、ガン付けている黒猫も可愛い!!!! (2014年6月10日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - それでも黒猫のよく顔を見た人によれば「ガン付けてる」とのこと、確かにシャムとかよりもきつく見える、CMみたいな「鯛食べたい」との要求はないが(笑) (2014年6月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - とらさん» それはすごく羨ましいしですね! 私なんか、何回逃げられたことか…(T_T) (2014年6月9日 18時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - 確かに黒猫の不吉な噂は聞きますが自分にしてはその辺にいるただの猫ですね、黒猫に何回絡まれてきたのやら (2014年6月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - アリスさん» ホントですかっ 自分ではどうもそう思えないので、そう言ってもらえるのは嬉しいです (2014年6月2日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/  
作成日時:2013年11月10日 0時

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