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彼女と鏡の話−7 ページ34

結衣に半ば引きずられるようにしてきた保健室で

「痣?
 そんなのどこにもないじゃない」

私達は先生にそう言われていた

「な、何言ってるんですか!
 ほら、ここに手形の…」

私は必死になってかかとよりも上の方にある痣を指差す

でも先生の表情は私の言葉を聞くと、さらに訝しげになった

「貴方こそ何言ってるの?
 手形の痣なんてどこにも無いじゃない」
「どうして…」

まだ反論しようとした私の肩に
ポン、と置く手があった

「結衣…」

結衣は私の耳元で言う

「たぶん、この痣は私達にしか見えないわ」
「…やっぱりそうなの?」

私は震える声でつぶやく

結衣はうなずくと、
先生に向かって「ご迷惑をおかけしました」と言うと私を連れて、保健室を出て行った


・・・

昨日とは違った

昨日は『あの子』に見つめられた後は
恐怖なんて私の中に残らなかった


なのに、なのに

今、私の中には
張り付いたみたいに「恐怖」という感情があった


痣を見た時からだ

湧水のように溢れ出た感情が
私の行動も感覚も制限していく

鏡を見ると表情が勝手に怯えたものになる
同時に体が固まって、麻痺したように体の感覚を感じれなくなる
まるで、自分の体じゃ無いみたいに

視界の端、
鏡の中、

暗い瞳の引きつった笑みを浮かべる彼女が
手招きするみたいに手を揺らしている


手が、私を掴もうとする



嫌、行きたくない
あんたの所なんか逝きたくないっ
どうして、私を"そっち"に連れ去ろうとするの!?

嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ...





「優希!!」

「ぁ…結、衣…」

顔を上げると冬なのに汗を浮かべた結衣が立っていた

あれ、、、?
なんで私ここにいるんだっけ?



なんで、廊下の鏡の前でうずくまっているんだっけ?

「優希!あなたさっきまで叫んでたけど、何があったの!?
 っていうか、どうしてここにいるの?」
「え…」

叫んでた?
私が?

結衣の言葉に首をかしげる

「優希、覚えてないの…?

 あなたは私が気がつかないうちにどっかに行ってたのよ
 私が探しているうちに叫び声が聞こえてきて、、、

 来てみれば、あなたがここにいたの」
「…結衣
 全然覚えてないよ…
 私どうかなっちゃたのかなぁ」

目からぽろぽろと涙が零れた

「結衣、、、きっと私は



 あの子に連れて行かれちゃうよぉ」

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設定タグ:黒猫 , オリジナル , ホラー   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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寒極氷化(プロフ) - とらさん» いやぁ、CMみたいな猫だったら私は嬉しいですけどねww それに、ガン付けている黒猫も可愛い!!!! (2014年6月10日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - それでも黒猫のよく顔を見た人によれば「ガン付けてる」とのこと、確かにシャムとかよりもきつく見える、CMみたいな「鯛食べたい」との要求はないが(笑) (2014年6月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - とらさん» それはすごく羨ましいしですね! 私なんか、何回逃げられたことか…(T_T) (2014年6月9日 18時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - 確かに黒猫の不吉な噂は聞きますが自分にしてはその辺にいるただの猫ですね、黒猫に何回絡まれてきたのやら (2014年6月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - アリスさん» ホントですかっ 自分ではどうもそう思えないので、そう言ってもらえるのは嬉しいです (2014年6月2日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/  
作成日時:2013年11月10日 0時

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