黒猫が横切って啼いた。

彼らと幽霊の話−３ ページ14

おれ達が入る廃墟は、元は学校で、どういう経緯なのか廃校になったそうだ

でも、俺達がこの廃墟の学校を探検しようと思ったのはそんな簡単な理由じゃない

なんでも、この廃墟は何度も取り壊しの計画が立てられていたそうだ

しかしその度に不自然な事故が現場で多発し、どれも頓挫した

そんないわくつきの廃墟だからこそ、俺達はここを探検する計画を立てたのだ


参加メンバーは俺を含めて５人

俺の親友でこの計画の言いだしっぺの健(けん)
強気な性格でよく男子とケンカすることの多い理香(りか)
それに人一倍臆病なことで知られているくせになぜか参加した勝斗(かつと)
クラス学級委員長で、頼りになる久美(くみ)
そして、俺･将汰(しょうた)

今俺達は、もう生徒の通うことのなくなった元学校の前にいる

「早く、入ってみよう！」

一番楽しみにしていた理香が出入口のようなところの前で
俺達に言う

「あぁ、そうだな。将汰、お前も早くしろ」

遅れていた俺に健はそう呼びかける

「わかってる」

返事をしながら健達にかけより、俺も出入口から廃墟へと入る

・・・

中に入ったとたん、俺が真っ先に思ったのは「不気味」という事だった
廃墟に得体のしれない「何か」が漂っているような、そんな感じがした
そして、そう感じたのは俺だけではないようで、

「うわぁ、不気味… いかにもなんか出そうな感じだよね」

初めにこの廃墟に足を踏み入れた理香がそんな感想をもらした

「確かに… でも、もっと気になるのはこの汚い廊下だよ」

潔癖症なところがある久美は掃除がされず、埃の溜まった廊下を嫌そうに見ていた

まぁ、こんな廊下、誰だって嫌か
だから、俺達は土足で入っているんだし

手に持っている懐中電灯で周りを照らして見ると廃墟は荒れ放題で、
落書きがされていたり、窓ガラスが割れていたり…
しまいには、工事のなごりか壊されかけ亀裂の入った壁なんかもあった

「なぁ、久美の親戚のユイって人が言ってた、幽霊が出やすいってところは何階だっけ？」

先頭を歩いていた健が後ろを振り向いて、久美に聞いた

あぁ、そういえば春休みに遊びに来た久美の親戚がいたなぁと思い出す

ユイとは、久美の従姉で大のオカルトファンだそうで、
当然のごとく調べていたこの廃墟のことを、俺達に聞かせてくれたことがあった

「え〜と、何階だっけ？ 将汰、覚えてる？」

久美に聞かれ、俺は思い出してみた

確かあの人はこう言ってたな…

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