半純血のネメシス (ページ1)

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プロローグページ1

夜の街に、知らない男の笑い声が響いた。

哀しみや怒り、どうしようもない喪失感

そんな感情がごっちゃになったような声だった。

幼い私は父の亡骸を前に泣きじゃくっていた。

辺りは人や鉄の焼ける嫌な匂いが充満している。

私はふと、狂ったように笑う男に視線を向けた。

泣いていた

その男は、笑いながら泣いていた。

それを見た瞬間、私は全てを思い出した。

かつて私が生きた人生

この世界の未来

そして、今の惨事の原因

私は必死で声を上げた。

違う！その人じゃない！

でも、幼子の声に耳を貸す人間などいなかった。

私は何も出来ない自分に怒りを覚えた。

許せなかった

私の声に全く耳を貸さなかった大人達も

父を殺しておいてのうのうと生きているネズミも

だからこそ、私は耐え忍ぶと決めた

しかるべき時に、真実を明らかにするために

そして、父の死から12年後

『シリウス・ブラック
アズカバンから脱獄！』

その記事が世に出た瞬間、止まっていた私の時間が静かに動きだした。