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高校1年生の秋頃だった。

同じクラスの尾浜君に告白された。

別に好きっていうわけでもなかったけれど、
告白されることなんてほとんど無かったし…

そのままなんとなくで私はオッケーした。

その時はお互い相性が合わなかったら別れればいいだろう、なんて考えていたっけ。

だけど、いつのまにか私は君のことを大好きになってたね。

君が明るく笑うところ。

よくいたずらするところ。

美味しそうにお菓子を頬張るところ。

意外と周りを見ているところ。

本当は人一倍沢山努力しているところ。

全部、全部、好きだった。

ずっと隣でそれを見ていたいと思った。

それが続くんだって思っていた。

当たり前なんだって。

でも、当たり前なんかじゃなかった。

私たちのそれまでのありふれた日常は奇跡にちかいものだったのだと、そう知るには遅すぎた。

高校生で初めての夏休み、私たちはUSJに行った。

私の親はすごく反対していたけれど必死にお願いして承諾して貰えた。

嬉しかった。

今までも何回か行ったことはあるのに、君と行くと思うとまるで初めて行くかのようで…。

とても楽しい思い出の一つになるんだと、そう思ってた。

だけど。

帰り道、買い物をしている途中私たちは運悪く通り魔に遭遇してしまった。

包丁を持って走って来る男の人。

怖かった。

足がすくんで動きたいのに動けない。

頭では逃げなきゃいけないと分かっているのに体が言うことをきかない。

次第に頭が真っ白になって、悲鳴が聞こえて。

最後に君が私の名前を呼んでいた気がする。

きっと私は死んだのだと思ってた。

なのに、次に目に映ったのは大量の赤い液体。

最初は自分の血だと思った。

でもどこも痛くはなくて。

不思議に思って起き上がってみた時、私は何が起こっていたのか理解出来なかった。

目の前に倒れて血を流しているのは君だった。

なんで?


なんで君が倒れているの?


意味が分からない。


ねえ、嘘だよね?



周りの大人の声も耳に入ってこない。

全身の血が逆流するようだった。

その後のことはよく覚えていない。

只、彼が死んだと告げる医師の声だけが妙にはっきりと聞こえた。




どうして今生きているのが私なんだろう。

どうして君はいないのだろう。


どうして?




1ヶ月たったのにまだ君の死を受け入れられない。

きっとそのうち『遊ぼう』ってLINEがきて、
また一緒に出かけるんだって。

そう思ってしまう自分がいる。

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作者名:翡翠 | 作成日時:2020年10月6日 1時

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