記録�─―�着点ではウソみたいな現実が待ってた 1/4 ページ16
「ただいまー」
『お帰りー！！タマちゃん！』
玄関を開くとヒロミツが勢いよく顔を出した。まるでご主人様が帰ってきてはしゃぐ犬のよう。玉森は荷物だけ置いて、しかし靴は脱がなかった。
「…ミツ。話したいことがあるから、ちょっと外いこ」
微笑んではいるのに、感情の読めない表情を浮かべる玉森。ヒロミツは首を傾げたが、特に何かを言うこともなく、玉森の手にした指輪と共にでた。
真っ暗な夜の道。街灯がパチパチしているくらいで、民家の明かりも殆んどない。
玉森は無言だった。ヒロミツもそれに合わせて黙って進む。踏切に差し掛かった時、まっすぐ線路の先を見つめた玉森は、足を止めて漸く口を開いた。
「……ミツ。俺に言わなきゃいけないことあるよね」
『…なんの…こと…？』
玉森は静かに言葉を紡いだ。
「俺、見たんだ。父さんの部屋で……ミツの、昔の写真…」
『…………』
「生きてたし、すごい笑ってた。それで……父さんと同じ、アイドルだった」
父さんの部屋にあったのは、心底楽しそうに笑いあっている男性たちの写真。それは父さんが昔所属していたアイドルグループの写真だった。
「母さんに聞いたよ。俺は父さんのこと何も知らないから…。その人は一世を風靡した7人組のアイドルグループのリーダー…」
しかし、デビュー後グループが軌道に乗ったかという時、リーダーの死亡報道。それは突然にやって来た。
グループはその後も暫く存続していたが、結局一年も経たずに解散。メンバーはタレントや俳優として個々で芸能活動を始めた。
『…そっ……か。解散、したんだ……』
ヒロミツは悲しさ、寂しさ、苦しさ…全てを合わせたような表情を浮かべる。
玉森はここで初めてヒロミツの方を向いた。
「ねえ。ミツの本名、教えてよ。…ミツの口からさ」
『………北山、宏光…だよ』
目を伏せて居心地悪そうにそう言ったヒロミツに、玉森はなんだか微笑ましいような気持ちになる。
…なんか、可愛い。
「思い出したのは、一緒に海に行ったとき…だよね？あの時から少し様子がおかしかったもん」
『…うん。早く言わなきゃとは思ってたんだけど……ほんと、ごめん』
ヒロミツは眉を下げて、頭を垂れた。
「…じゃあ、もう、全部思い出したんだね」
『うん。アイドルだったことも…死んだ時のことも…Tのことも…ぜんぶ…』
記録�─―�着点ではウソみたいな現実が待ってた 2/4→←記録�А，修鵑覆里辰討覆い�
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daimomm(プロフ) - 紅葉ぽてぽてさん、こんにちは。またお邪魔してきました。何回目かなぁ。大好きなお話。毎回みっくんの正体がわかったところから号泣必至です。また地縛霊みっくんに逢いたくなったら来ますね。 (2019年9月22日 9時) (
レス) id: a9155c8926 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉ぽてぽて(プロフ) - りんちゃさん» りんちゃさん、感想ありがとうございますー！！ わわーー！勿体ないお言葉ですっ！泣いていただけたなんて…書き手冥利に尽きますっ！！ まだ連載中の物もありますので、今後とも、どうぞ良しなに(*´ω｀*) (2018年4月24日 20時) (レス) id: bb26a8e9d1 (このIDを非表示/違反報告)
りんちゃ(プロフ) - はじめまして。紅葉ぽてぽてさんの小説を初めて読ませて頂いたのですが、文章も読みやすくてどれも面白いし、素敵なお話でした。彼が死んだ日を探す旅はタイトルにつられて読んだのですが感動してぼろぼろ泣いてしまいました笑 (2018年4月24日 1時) (レス) id: fdb9918149 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉ぽてぽて(プロフ) - daimommさん» 実は初期の段階で玉北エンドも考えていたんですが、しかしなにせ20年待ち続けてる藤ヶ谷さんがいらっしゃったので、今作では藤ヶ谷さんに軍配が上がりました。最後まで読んでくださってありがとうございます！ (2018年2月24日 17時) (レス) id: 55d0077256 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉ぽてぽて(プロフ) - daimommさん» daimommさん、感想ありがとうございます！私も藤北の生活を書きたかったです。この藤ヶ谷さんは人気俳優なので、撮影現場に連れて行ってもらった北山さんがうっかりカメラに映り込んでしまって本物の心霊映像が出来あがっちゃったり…妄想は膨らむばかりです笑 (2018年2月24日 16時) (レス) id: 55d0077256 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉ぽてぽて | 作成日時：2017年3月17日 4時
