第三者と当事者 (ページ3)

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当事者の偲愛ページ3

「…北山飲みすぎー」

タクシーで家の近くまで運んでもらってあとは徒歩で家に向かっていた。

泥酔気味の北山は一人で歩けそうもないので藤ヶ谷がおんぶしてやっている。

「らぁってー…」

「だってじゃないでしょー」

「んー…」

「…んったく…毎回店員さんに注文取り替えてもらってるこっちの身になって欲しいもんだよ…」

もう真冬も間近だと言うのに、二人ともかなりの薄着だ。

藤ヶ谷からすれば北山自体が熱をもってカイロのようだったので逆に暖かいぐらいだ。

「はい、とうちゃーく。北山？家着いたよ、起きて」

藤ヶ谷は肩を揺らして背中の北山を揺すり起こす。

「んぅー…」

北山は唸ると目をしばしばさせながら藤ヶ谷背から降りた。

バッグに腕を突っ込んでカギを見つける。

「…部屋あっためるー」

藤ヶ谷の服裾をつかんで家の中に入った。

「ストップ、ストップ！待って北山」

パタパタ歩きだした北山を焦って呼び止める。

北山は右足だけ靴が脱げておらず、半分土足のような状態だった。

藤ヶ谷は急いで靴を脱ぐと床に座り込んで靴と格闘している北山を手伝ってやった。

「いま水持ってくるから」

ソファーに北山を置いてキッチンでコップに水を汲んでいるとぺたぺた足音が近づいてきた。

「ふーじがーやくぅん♪」

「どうした？」

「口移しがいいなぁ～」

そう悪戯っ子のように笑う恋人に藤ヶ谷の悪戯心に火がついた。

「…ン？」

コップの水を一気に口に含むと、北山の顎をつかんで顔をクイッと上げる。

空いた手で腰を引き寄せて素早く唇を合わせた。

「ぅぬっ…ふ、ンぅ…、」

ポタポタと流しきれなかった水が足元に落ちる。

二人の唾液が混ざりあって常温以上に温かい水を絡められる。

途中からは口移しではなく、濃厚なキスに変わっていた。

「んンッ…ぅ、ふっ…は、」

「…ど？美味しい？」

「ん、ふふっ…」

唇を離して北山の顔に残った水が零れてしまった跡を指の腹で拭ってやる。

「明日も仕事でしょ？はやく寝よ」

藤ヶ谷が微笑むと北山も小さく頷いた。

北山の大きめのベットに藤ヶ谷も一緒に入る。

この為に大きいのを買った。

「きたやまー」

「ンー？」

今にも夢の国に飛んで行きそうな北山がゆっくりこちらを向いた。

「おやすみ」

end