10. ページ10
.
「すいません、毎度毎度お邪魔してしまって」
『いえ。こちらこそごちそうさまでした。今日もとっても美味しかったです』
食器を下げてコーヒーのマグカップをこたつに置く。
『和食も作れちゃうんですね』
今日の夕飯は煮魚に野菜たっぷりの味噌汁だった。
「今度は俺が釣ってきた魚で作りますんで」
そういえば、加藤さんとこに釣竿とルアーが綺麗に並べてあったな。
「Aさん。今度…ほんといつでもいいんですけど、
またAさんのカレー食べたいです」
不意に爽やかなスマイルを向けられる。
『いやです…』
「えー。そんな思いきり断る？」
『絶対、加藤さんが作った方が美味しいです』
「そんなことないです。Aさんのが俺の中で歴代NO.1カレーだし」
そんなこと言われても、全然説得力ないです…
「まぁ、気が向いたらでいいんで。
待ってます」
待ってますって…
なんかプレッシャーだけど何故かドキっとしてしまった。
「あ、もしかして買ってくれたんですか？」
『えっ？』
急に何？何を？
加藤さんの視線の先には枕元に置いたままの文庫本があった。
片付けるの忘れてた。
せめて本棚に並べてあるまだ読んでない3冊は見つからないことを願って1人ドキドキする。
「言ってくれればうちにあるのに。
で、どうでしたかね」
えー。
どうでしたかねって…。
作家さんに直接感想言うの？
『面白くて、最後まで一気に読んじゃいました。今までにないジャンルのお話で、結構衝撃だった、といいますか…』
これで、どうでしょうか。
これ以上は上手く言えないので勘弁してほしいです。
「嬉しいです。ありがとうございます。
もし他の作品にも興味もってくれたら言ってください。差し上げますんで」
『…はい』
すでに何冊か買ってるけど。
いいのかな。
作家さん本人からもらっちゃうとか。
「あの、Aさん。俺…」
急に加藤さんが何か言いかけたところで、バイブ音が聞こえてきた。
ズボンのポケットからスマホを取り出した加藤さんは、画面を確認して
「元カノです」
と苦笑いして、振動し続けるスマホをまたポケットにしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まり(プロフ) - ぽ わ た す 。さん» コメントありがとうございます(*^^*)読者の方には主人公に自分を重ねて読んで頂けたら、と思って書いていたので嬉しいです(*^ω^*)これからも引き続きよろしくお願いします！ (2019年3月20日 0時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ わ た す 。(プロフ) - 初めまして！情景が本当に浮かんでウキウキしながら読んでました！主人公の自信の無い感じとか自分に重ねたり、としていましたが、本当にいい作品です！次作も読もうと思うので楽しみにして待ってます（≧∇≦） (2019年3月19日 23時) (レス) id: 1a6840d4ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ゆっちゃんさん» コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです(>ω<〃)〜引き続きお付き合いよろしくお願いします！ (2019年3月19日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - シゲ担なんでこれ読むたびにキュンキュンしますww 他の３人のも読もうと思ってます！お疲れ様でした！頑張って下さい(о´∀`о) (2019年3月19日 23時) (レス) id: cfad8bd8ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます(*^^*)何回も読んで頂けてるということで、とっても嬉しいです(o´艸`)これからも引き続き宜しくお願いします。 (2019年3月2日 14時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まり
| 作成日時：2019年2月14日 0時
