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そんなの無理無理。

増田さんへのお花を私がアレンジするとか。
しかも劇場に配達するの?


なんて思っておいて、その日の夜には必死になって頭の中で構想を練り始めていた。


ガーベラメインの黄色いお花いっぱいのアレンジメント。

いざ足りなかったりしたら嫌だからって、かなり多めに花を発注して母に怒られた。



舞台初日の前夜。
徹夜する気満々でいたけど、念入りなシミュレーションのおかげで思ってたよりスムーズに作業は進んで、ついでに店頭で売る用に余った黄色い花で小さなブーケをいくつか作って店を後にした。





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「いってらっしゃい。気をつけてね」

『うん』


本当に気をつけないと。

色んなこと考えすぎて、事故っちゃったら大変だし。


花屋のロゴ入りの軽四の後ろに叔父さんからの依頼品を乗せて、車を発進させた。






うわー。
ゲリラ豪雨ってやつ?


急に空が暗くなって、MAXの速さでワイパーを動かさなきゃいけないほどの雨が降り出した。


劇場へは地下駐車場から搬入するし、きっといずれ止むだろうけど、恐らくこの時間から会場前で待機してるファンの子たちもいるよね。

自分も参戦したライブの時に雨だった経験はあるけど、中々辛かった。


早く止むといいけど…


濃い灰色の空を見上げながら信号待ちをしていると、助手席側の窓がコツンと音を立てた。



『え?増田さん?』


急いで助手席のバッグを退けると、すぐに増田さんが乗り込んでくる。



「助かったー。
急に雨降ってくるんだもん。Aタイミング良すぎ。
車に書かれてるお店の名前見てマジかって思って近付いたら、本当にAだし」


嘘。これはどういう状況?


タオルは無かったから、取りあえずバッグの中のハンカチを渡す。

「ごめん、ありがとう。
配達中?俺、今日から舞台で…」

『知ってます。
後ろのお花、見てください』


後ろを振り向いてしばらく凝視してた増田さんが、おーって声を上げる。

増田さんと叔父さんの会社の名前が書かれた札がちゃんと見えたみたい。


「じゃあ、もしかして行先一緒じゃん」

『そうですね。丁度よかったです』


増田さんは午前中にリハーサルして、公演までの数時間の間に買い物に出た帰りだったらしい。

劇場に行っても会えるとは思ってなかったけど、まさかの遭遇の仕方。




「久しぶりだね、A」


相変わらずの優しい声に、私の心臓は煩いほど高鳴っていた。

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まり(プロフ) - なつさん» コメントありがとうございます!尊敬なんて、おそれ多いです^^;これからも毎日更新頑張ります☆ (2020年7月26日 2時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 初めまして。いつもよませていただいてます。わたしも書き手ですが、まり様は内容が面白いだけでなく毎日更新もされていて尊敬するばかりです!これからも応援しています! (2020年7月25日 2時) (レス) id: 0189702ceb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まり | 作成日時:2020年7月2日 2時

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