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「ごめんね。またAに運転させちゃって」
『全然。
むしろあんな車でごめん、だよ』
それからしばらく経って、貴くんと私は2回目の温泉旅行に来ていた。
前回とは違って部屋に案内されるなり、躊躇うこと無く一緒に部屋付きの露天風呂に入った。
今日は貴くんは運転出来ないわけではなかったけど、私に車を出してほしいと言った。
「あんな車って…
俺がリクエストしたんだし」
『リクエストだったの？なんで？』
あんな小さくて乗り心地悪い車…
まさか芸能人が乗ってるなんて思えないから、カモフラージュにはなるけどね。
「好きなんだよね、俺」
お湯の中で貴くんの手が私の手を捉える。
「お花屋さんの軽四も、Aの1Kのマンションもシングルベッドも」
『うん、そうだよね』
それは付き合うずっと前から知ってた。
「最初は身体がバッキバキになってたけど、それでも快適だったんだよね。
今はもう完全に順応したから、全然平気。
なんでだろう。Aの匂いがするからかな」
『何それ。恥ずかしい』
車も部屋も消臭スプレーの匂いくらいしかしないと思ってたんだけど。
『私の匂いなんてあるの？』
「あるある。
お花みたいな優しい匂い」
『自分じゃ全然わかんない。
やっぱり一日中花屋にいるからかなぁ』
「かもね。
ちなみに今も、お風呂に入ってたって俺には分かるよ、Aの匂い」
そう言って私を後ろから抱いて首の辺りに顔を埋めてくるから、くすぐったくて思わず身を捩った。
『ちょっと、やめてよ』
「えー、やめたくない」
当たり前だけど、お風呂の中だから直接肌が触れてるし。
「A。こっち向いて？」
振り向くと、まあまあ激しめのキスをしてきた。
「もう出よ？暑くなってきた」
言われてみれば私も顔がめっちゃ熱いけど、それは露天風呂のお湯のせいなのか、それとも…
「今日は早めに着いたから、夕食まではまだまだ時間あるし」
貴くんは意味深に微笑んで、軽くこめかみにキスして立ち上がった。
end.
終わり
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まり(プロフ) - なつさん» コメントありがとうございます！尊敬なんて、おそれ多いです^^;これからも毎日更新頑張ります☆ (2020年7月26日 2時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 初めまして。いつもよませていただいてます。わたしも書き手ですが、まり様は内容が面白いだけでなく毎日更新もされていて尊敬するばかりです！これからも応援しています！ (2020年7月25日 2時) (レス) id: 0189702ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり
| 作成日時：2020年7月2日 2時
