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眠ってるの？
目を閉じてるだけ？
相変わらず私の右手は増田さんの大きな手の中。
やっぱり熱があるみたいで少し熱い。
起こしちゃいけないって思ってとりあえずそのままじっとしてたら、私の方がいつの間にか眠ってしまった。
「A…」
優しく私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「こんなとこで寝たら風邪ひいちゃうよ」
ハッとして一気に目が覚める。
うわ、暗っ。
どれだけ寝てたんだか。
いつの間にか夜になっていた。
暗闇の中でソファの上の増田さんが優しく髪を撫でる。
髪の毛越しでも手が暖かいのがわかった。
まだ熱下がってないのかも。
『ごめん、寝ちゃってた。
電気つけるね？』
「うん」
カーテンを閉めて灯りをつけると、増田さんは立ち上がってふらふらと歩き出す。
『行ってくれれば私が持ってくのに』
キッチンで水を飲む背中に声をかけると、
「ねぇ、これ食べたい」
増田さんはさっき私が作ったお粥を指差した。
取り分けたお粥温めてテーブルに運ぶと、増田さんがスマホを耳にあててたから思わず動きを止めた。
電話してたんだ。
危ない危ない。
おまたせー、とか言わなくて良かった。
茶碗をそっとテーブルに置いて静かにキッチンに戻る。
「だいぶ良くなりました。
いや、大丈夫…
え？あー…わかりました。じゃあ…」
通話が終わったっぽいのを感じてそっと顔を出すと、増田さんはこっちを向いていた。
「ごめん。
これから事務所の人が薬届けに来るって。
大丈夫って言ったんだけど、もう向かってるからって…」
『そっか。じゃあ、帰るね』
「ごめん」
結局久しぶりっていう挨拶も、増田さんが今どんな症状なのかも髪染めたねって言うのも、まともに話せなかったな。
でも拒絶されなかっただけで十分。
まだ具合悪そうだし心残りはあるけど、急いで帰らなきゃ。
『じゃあね、お大事に』
「うん。ありがとう」
エントランスでスーツを来た男の人とすれ違った。
白いビニール袋を手に持ったその人は多分増田さんの部屋の番号を押していた。
ほんと、すぐに出てきて良かった。
もし事務所の人が来なかったら、私はいつまでここにいたんだろう…
考えても仕方ないから、やっぱり考えないことにした。
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まり(プロフ) - なつさん» コメントありがとうございます！尊敬なんて、おそれ多いです^^;これからも毎日更新頑張ります☆ (2020年7月26日 2時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 初めまして。いつもよませていただいてます。わたしも書き手ですが、まり様は内容が面白いだけでなく毎日更新もされていて尊敬するばかりです！これからも応援しています！ (2020年7月25日 2時) (レス) id: 0189702ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり
| 作成日時：2020年7月2日 2時
