Spessartine Garnet

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『何これ。てか、どこ？ここ』


「1泊だけだけど、来月休み取れそうだから。
行かない？温泉」

『うそ、行きたい！』


他の芸能人の人に教えて貰った隠れ家的な温泉旅館らしい。

隠れ家って言うだけあって、すごく高級感があっていい感じなのに全く聞いた事が無い名前だった。


「一応、ここの2日間休み取れそうなんだけど…」

『分かった。空けとくね』


増田さんと知り合ってすでに1年程経っていたけど、外泊なんてもちろん初めて。

何より増田さんが誘ってくれた事が嬉しくて仕方無かった。


「A、急に元気になった」

『だってすごく嬉しいもん』

頭痛なんかどっか行っちゃったし、さっき元彼と出くわしたことももはやどうでも良くなっていた。

ほんと単純なんだな、私って。


てか、旅館ってもちろん同部屋だよね？
お互いの部屋では何十回も一緒に寝てるのに、何故か緊張してくる。

別に旅館に1泊するからって何かある訳じゃないのに。









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「ねぇ、もしかして番号変えた？」


次の週も元彼はやってきた。

『…変えた』

「新しい番号教えてよ」

『なんで？』

「ご飯でも行こうよ」

『行くわけないし』


意味わかんない。
しつこく付いてくるし。




「A」


あ。

見覚えがある車が横に停まって急いで駆け寄る。


『どこか行くの？家まで送ってくれないかな』

「おー、乗れ乗れ」


抜群のタイミングで登場した叔父さんの車に乗り込む。


「今の、アイツだろ」

『そうなの。先週も急に来て…』


叔父さんは何回か元彼を見た事があったからすぐに分かったらしい。

「大丈夫か？それ。そのうち家にも来るんじゃねーか？」

『やだ。やめてよ』

「いや、冗談じゃなく。
マジで引越し考えた方がいいかもな」


嘘でしょ。
自宅まで付きまとうようなタイプじゃないと思うんだけど。

でももし、うちに増田さんが来た時にアイツと出くわしちゃったら…

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