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───side S───
数日ぶりに会った彼女を一度見送った。
診察室で1人になると、急に冷静さを取り戻す。
ほんとダメだな、俺。
そういうことがあったから今日までしばらく会ってなかったのに、Aの顔見てしかも飯に誘われて完全に舞い上がっていた。
こんなに浮かれて、中学生かよ。
完全に一晩一緒に過ごすつもりでいたけど、やっぱりそれはダメじゃん。
ちゃんと菫の方の決着をつけてからじゃないと。
「ごめん。
さっきはつい、我慢出来なかったっていうか…」
『どうして謝るんですか』
助手席に乗り込んだAから笑顔が消えた。
あーあ、今絶対楽しそうに乗り込んできたのに。
タイミング間違えたかな。
加藤内科からAのアパートに向かう通り道にある店を適当に選んだ。
やっぱりAといるのは楽しいし、そこそこ話も盛り上がった。
通りを逸れてアパートへ続く細い道へ車を走らせると、Aの口数が減った。
やっぱり、うちに泊まる気だったのかも。
そりゃあ俺だって、このまま持ち帰りたい気は満々だけど、やっぱり今日はそういう訳にいかない。
「じゃあ、また」
『はい…ごちそうさまでした』
明らかにトーンダウンしたAを降ろして車を走らせた。
Aがすぐにはアパートに入らず、俺の車を見送っていたのをミラー越しに確認していた。
もうあんな悲しそうな顔も寂しそうな顔もさせないようにしないとな。
そこから向かったのは自宅、ではなくて病院。
ICカードを使って裏口から入ると、まっすぐ3階の病棟に向かった。
病室の中から話し声が聞こえてきて、一旦立ち止まる。
菫と、誰だ？
家族はこの時間には来ないはずだし。
なら、看護師か。
扉を開けて、一瞬何を見てしまったのかと混乱した。
俺の姿を見てすぐに離れたけど、ベッドに座って菫と抱き合ってた。
えーと…
ああ、看護師の伊東か。
私服だから一瞬分かんなかったじゃん。
少しずつ頭の中で状況を整理する。
「……出直すわ。
明日の午後。話がしたい」
菫は黙って頷いていた。
伊東もただ黙って突っ立ってたけど、遠回しに明日の午後はここに来るなと言うのは伝わっただろう。
「あら先生、もう帰るんですか？」
すれ違った看護師長に軽く頭を下げて、エレベーターに乗り込んだ。
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まり(プロフ) - ゆんさん» 最後までお読み頂きありがとうございました(*^^*)今後もお付き合い頂けたら嬉しいです！ (2020年5月25日 23時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - まりさんの書くお話が大好きで毎回とても楽しみにしています！今回もドキドキしたりちょっと胸がツンとしたり素敵な時間でした！ありがとうございます！ (2020年5月25日 12時) (レス) id: 32c7b28952 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 彩耶さん» いつもありがとうございます☆今作も最後までよろしくお願いします(*^^*) (2020年4月30日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
彩耶(プロフ) - 新作おめでとう。最後まで楽しく読みます☆ (2020年4月29日 17時) (レス) id: 357029ce8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり
| 作成日時：2020年4月29日 2時
