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『あの…初めてなんですが』
「はい。どうされました？」
『頭痛が続いてて…』
体温計を渡されて、一度待合室のベンチに座る。
平熱を表示した体温計を渡すと、そのまま診察室に入るよう促された。
受付終了間際とはいえ、一人も患者さんいないとか大丈夫かな。
建物もだいぶ古いし、おじいちゃん先生だもんね。
まあ、とりあえず薬さえ貰えれば…
「どうぞ」
こちらが開ける前に、ベテランの看護師さんが内側からドアを開けてくれる。
え…
思わず引き返そうかと思った。
なんで？
なんで加藤先生？
いや、確かにここは加藤内科医院だけど。
でも、おじいちゃん先生がやってるっていうのをちゃんと確認してわざわざこんな遠くまで来たんだよ？
「荷物はそこに置いて、先生の前に座ってください」
『…はい』
いや、先生は私のことなんか知らない。
さっさと診察済ませて薬もらって帰ろう。
で、もうここには来ない。
「頭痛ですか。いつから？」
うん。
気付いてる感じは無さそう。
.
「偏頭痛でしょうね。
薬出しますからそれで様子みて、酷くなるようならまた来てください」
『はい。ありがとうございました』
もう来ないけど。
いつから？とか、どんな感じ？とか色々聞かれたけど正直上の空でちゃんと答えてたかあまり記憶にない。
とりあえず、頭痛だけだからか、聴診器でもしもしとかは免れたから良かった。
「で…
なんで自分とこの病院じゃなくてわざわざこんなとこまで？」
バッグを手に取り診察室を出ようとした所で、後ろから声を掛けられて思わず固まる。
「あら、知り合いだったの？」
看護師さんがにこにこしてる。
「事務の方です。中央病院の」
「あら、そうなの」
バレてる。
うわー、もう最悪。
「今日はたまたまシゲアキ先生の日で良かったわね。あー、シゲアキ先生がいるって分かって来たのかな」
結局立ち止まった私より先に、カルテを持って看護師さんの方が先に出て行ってしまった。
「ここ、俺のじいちゃんの診療所。
今は週に2回俺が代わりに診察してるけど」
あー、そうですか。
調査不足で全く知りませんでした。
私はとある病院の事務員。
加藤先生はその病院の非常勤の内科医だった。
勤務先で診察受けるのがなんか嫌で、職場からも家からも遠い、全くうちとは関わりのなさそうな病院を見つけたつもりでいたのに。
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まり(プロフ) - ゆんさん» 最後までお読み頂きありがとうございました(*^^*)今後もお付き合い頂けたら嬉しいです！ (2020年5月25日 23時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - まりさんの書くお話が大好きで毎回とても楽しみにしています！今回もドキドキしたりちょっと胸がツンとしたり素敵な時間でした！ありがとうございます！ (2020年5月25日 12時) (レス) id: 32c7b28952 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 彩耶さん» いつもありがとうございます☆今作も最後までよろしくお願いします(*^^*) (2020年4月30日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
彩耶(プロフ) - 新作おめでとう。最後まで楽しく読みます☆ (2020年4月29日 17時) (レス) id: 357029ce8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり
| 作成日時：2020年4月29日 2時
