7. ページ7
.
『ちょっ、ちょっと』
慌てて貴久の胸を押しやって距離を取る。
危ない。流されるとこだった。
「なんだ。結構ガード固いんだね」
何？
なんかムカつく。
貴久の一歩前を少し早歩きで家に向かう。
「まだ未練あるの？あの人に」
『無いよ』
それは本当。
自分でもびっくりするくらいもうどうでもいいんだ。
.
ほとんど口を聞かないまま帰宅してすぐにお風呂に入った。
髪の毛を拭きながらリビングに戻ると、貴久にバスタオルを奪い取られた。
「ねぇ…そんなに嫌だった？」
髪の毛をそっと拭きながら顔を覗き込んでくる。
それって、さっきのあれ？
『何でキスしようとしたの？』
「したいと思ったから」
何それ。
『誰にでもそんな感じなんでしょ、貴久って』
「そんなことないよ…」
何か言ってた気がするけど、ドライヤーの音にかき消されてよく聞こえなかった。
.
『そうだ。連絡先教えてよ』
ベッドに入った瞬間、思い出した。
「LINE？なんで？」
『なんでって…連絡が必要なことがあるかもしれないから』
「そっか」
貴久が私の上から腕を伸ばしてサイドボードのスマホを取ろうとするから、めちゃめちゃ顔が近付いた。
言ってくれれば私が取ってあげたのに。
心臓に悪いよ。
「AのQRコード出して？」
貴久のスマホに私のスマホを重ねると、すぐに通知が来る。
ますだ？
『誰これ』
「俺だよ」
貴久の苗字って、ますだっていうの？
『初めて知ったんだけど』
「うん。教えたこと無いもんね」
フルネームも知らなかったなんて。
しかもそこは特に気にしてなかった。
さすがにマズいよ、私。
「俺は知ってたよ。AA」
そりゃあね。
私の家にいるわけだし、会社まで知ってるもんね。
『なんか、ズルい。
貴久ばっかり色々知ってて、私は貴久のこと何にも知らない』
「誕生日は7月4日で、O型。
好きな食べ物は餃子。
あとは？何が知りたい？」
急に色々話し出した。
『ここに来る前はどこに住んでたとか、仕事って何やってんのとか…色々だよ』
「うーん…」
あれ？
それは教えたくないの？
髪の毛を触っていた手が頬を撫でて、超至近距離で見つめられる。
「じゃあさ…それ知ったらAは俺と付き合ってくれる？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まり(プロフ) - ぴょんさん» はじめまして(*^^*)毎日お読み頂きありがとうございました！今後ともよろしくお願いします。 (2020年4月30日 23時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - まつさん» コメントありがとうございます！色々読んで頂いているようで、とっても嬉しいです(*^^*)今後もぜひお付き合い下さい。 (2020年4月30日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！めちゃくちゃおもしろかったし、たくさんキュンキュンしました！この作品を読みに来ることが毎日の楽しみになってました！また読み返します！これからも応援しています。 (2020年4月27日 22時) (レス) id: 6fc41468f4 (このIDを非表示/違反報告)
まつ(プロフ) - はじめまして！JUMP担なのでNEWSのお話は最近読み始めたばかりですが、まりさんのお話どれも好きで一気読みしてます！こちらの作品もものすごく素敵でした！願わくばドライブデートからのおっすーになる部分を…詳しく…番外編など…！お気持ちご向きましたら…m(><)m (2020年4月27日 18時) (レス) id: c1ce19b84f (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 亜紀さん» コメントありがとうございます。毎日チェックしてくださり、ありがとうございました。 (2020年4月27日 2時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まり
| 作成日時：2020年3月28日 1時
