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一応、近くにAさんとマスターがいないか確認する。
「彼女、結構年上だよね?」
「俺より15コくらい上?
でも歳なんて関係ないです」
まぁそれは分かる。
歳なんて全くどうでもいいと思えるほどの魅力がAさんにはいっぱいある。
「絶対言わないでくださいよ?
俺の心の中だけで留めておくつもりだったのに、加藤さんに言っちゃったじゃないですかー」
告ったりはしないんだろうか。
「叶わぬ恋です。
Aさんには大事な人がいるんで」
「そうなの?」
驚いて、それからじわじわと絶望感がやってきた。
しかもそんなタイミングで、Aさんがこちらにやって来る。
帰ろう。
「ごちそうさまでした。遅くまですいません」
支払いを済ませて店を出ようとすると、Aさんが先回りして扉を開けてくれた。
もう閉店時間だから俺が出たらそのまま鍵閉めんのね。
Aさんの親切心さえマイナスに捉えてしまう。
『今日はありがとうございました』
「いえ、こちらこそ。ご馳走様でした」
『また来てくださいね?』
「はい…」
次来れるのはいつだろうか…
と言うか、そもそも来るかな。
『待ってますね』
ちょっ、それは反則だわ。
お待ちしてます、でいいじゃん。
ちょっと言い方変えただけでなんでそんなに可愛くなんの…
軽く会釈して店を離れる。
最後に目に入ったのは彼女の笑顔、ではなくて、ドアを押さえる左手に光る指輪だった。
大事な人、ねえ…。
やっぱり結婚指輪だったか。
なんだかデザインもそれっぽかったもんな。
なんにも始まってないのに、失恋したの?俺。
大通りまで出てタクシーを拾おうとフラフラ歩いていると、先程の量販店の前に出た。
何気によく利用するし結構好きだったりする。
少し見てみようかと、入店した。
結局、少し見るつもりが、久々だったのもあって隅々まで店内を巡ってしまった。
その上、どうせ店の前からタクシーに乗るし。
そう思ってカゴに商品を入れ始めたら、あれもこれもとなってしまい、結構本格的な買い出しになった。
『加藤さん…』
3つになってしまった黄色い袋を両手に持って店を出ようとした所で、後ろから名前を呼ばれた。
振り返る前に誰か分かっちゃったよ。
こんなとこでこんな状態でいるとこ、一番見られたくなかった人かも。
彼女もまた、黄色い袋とBOXティッシュを両手に携えていた。
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まり(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます☆全部読んで頂いてるなんて、嬉しすぎます!温かいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります。 (2019年10月12日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 初コメですが、、以前から、コッソリとまりさんの作品大好きで、全て読ませて頂いております!低評価の件ですが、どうか気にする事なく、まりさん自身ムリのないよう更新頑張ってください!楽しみにしております(^^)/ (2019年10月11日 3時) (レス) id: 58f4b53075 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ○○さん» コメントありがとうございます☆私の作品を見つけて頂いてありがとうございます。だいぶ元気がでてきましたので、最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます☆年上彼女がマズかったのか、と悔いていたので少し安心しました。確かに、誰かが評価してくれると直後に低い点を入れられる、と言うのが続いていたんです…最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - りんりんごさん» コメントありがとうございます(^-^)温かいお言葉、励みになります。最後まで更新頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2019年9月20日 3時