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「寒くなってきたし、車行きます?」
『はい』
急に口数が減ったけど、決して拒絶されてる訳では無いと確信して、手を引いて車に乗り込んだ。
「今度は、もっと遠出してもっと星がいっぱい観れるとこに行きましょうよ。
天体望遠鏡用意して、Aさんの星見つけましょう」
『はい』
Aさんは大きく頷いてくれた。
「これから忙しくなりそうだから、少し先になっちゃうと思うけど…」
実はまだ大っぴらには出来ないが、ドラマの主演が決まっていて、当分の間その撮影でスケジュールがいっぱいだった。
ロケで何日か東京を離れる事もあるし、しばらくORIHIMEにもいけないだろう。
『私はいつでも。楽しみにしてます』
「可愛い、ほんとに…」
いつもこの笑顔を見る度に頭の中でリピートしてたセリフを初めて口に出して伝えた。
恥ずかしそうに俯いた顔に手を伸ばして、2回目のキスをする。
「Aさん。明日は?」
『明日は進藤くんが学校お休みだから朝出てくれるので、私は午後からです』
「俺も明日は夕方から。
良かったら、まだ一緒にいれたらなぁ、とか思ったり…」
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外食に行く時間も、自分で作る時間も惜しくて、コンビニで2人分の夕飯を買って帰る、という何とも俺らしくないことをしてしまった。
デリバリーも一瞬頭を掠めたが、2人きりになった自宅に誰かが来るのが嫌で、その選択肢はすぐに消えた。
自分の家、自分のベッドに彼女がいるのが堪らなく嬉しかった。
ずっと引っかかっていた亡くなったAさんの旦那さんのことはもちろん忘れた訳じゃないけど、敗北感みたいなのは消えかけていた。
結局それは、束の間の幸せな時間に過ぎなかったんだけど…
「A、おはよう。少しは眠れた?」
ベッドの中でほぼ同時に目を覚ました。
掛け布団を軽く整えて、露になった肩を覆ってやると、彼女は控えめに微笑んで頷いた。
身体を密着させて抱きしめると、また眠気が襲ってくる。
少し二度寝してしまった。
今度は二人共ちゃんと目を覚まして、改めておはようの挨拶とキスを交わした。
『今、何時だろう…』
スマホを確認したAの顔が険しくなる。
『ごめん、ちょっと電話…』
下着だけ手早く身に付けて、寝室から出て行った。
ついて行ってはいけない気がして、ベッドの中で待機してると、リビングから声が聞こえてくる。
『Aです。
すいません、スマホ全然見てなくて…』
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まり(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます☆全部読んで頂いてるなんて、嬉しすぎます!温かいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります。 (2019年10月12日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 初コメですが、、以前から、コッソリとまりさんの作品大好きで、全て読ませて頂いております!低評価の件ですが、どうか気にする事なく、まりさん自身ムリのないよう更新頑張ってください!楽しみにしております(^^)/ (2019年10月11日 3時) (レス) id: 58f4b53075 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ○○さん» コメントありがとうございます☆私の作品を見つけて頂いてありがとうございます。だいぶ元気がでてきましたので、最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます☆年上彼女がマズかったのか、と悔いていたので少し安心しました。確かに、誰かが評価してくれると直後に低い点を入れられる、と言うのが続いていたんです…最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - りんりんごさん» コメントありがとうございます(^-^)温かいお言葉、励みになります。最後まで更新頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2019年9月20日 3時