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一瞬反対の手かとも思ったが、薬指にうっすら指輪の跡が残っているのが見えた。
『こないだの、お礼をしたいんです』
コーヒーを一口飲んだところで声をかけられる。
こないだのって、黄色いレジ袋がちぎれたやつね。
「そんなの、別にいいですよ」
『ですよね。
そう言われると思って、結局どうするかまだ決めてないんです』
それ、俺に言っちゃう？
もはや、そんなのも可愛いって思ってしまうんだけども。
「ちょっと買い出し行ってくるね。店番よろしく」
マスターがエプロンを外しながらキッチンから顔を出す。
『え？なに買いに行くんですか？私行きますよ？』
「いいから。何なら、もう閉めてもいいし。
加藤くん、ごゆっくり」
最後に意味ありげに笑って、マスターはあっという間に出て行ってしまった。
他に客はいないし、進藤は今日も休みで、一気に気まずい空気になった。
最近は普通に話せるようになってたのに、こういう場面になると何故か言葉が出てこない。
「珍しいんですか？マスターが外出って」
『初めてです』
Aさんは困ったように笑う。
「良かったら、座りません？
他のお客さん来るまで…」
とは言っても、いつもの感じだとこの時間の来客はほぼ無いけど。
Aさんは一瞬驚いたような表情を見せて、だけど遠慮がちにカウンターを出て、俺の隣の椅子を一つ空けて座った。
『昨日、テレビ観ましたよ』
「あー、ありがとうございます」
ほんとだったら、今頃ここで撮影したやつ放送されてたんだろうな。
昨日のは今までの総集編だった。
『こんなこと言ったらいけないかもしれないけど…あれ、放送されなくて良かったと思ってるんです』
「え？」
てっきり、お蔵入りになってガッカリしてるんだと思っていたので、意外だった。
『放送されて、それをみた人たちがここに通うようになったら、加藤さん来ませんよね？』
「来ないでしょうね」
『それは嫌かもって。加藤さんと会えなくなるのは…』
何それ。
そんな風に言われたら、いいように解釈しちゃうよ？俺。
「こないだの、お礼…
思いついてないなら、俺から提案してもいいですか？」
『あ、はい。もちろん』
何を言われるのかと思っているのか、急に姿勢を正したAさんが可愛くて、笑みが零れてしまう。
「ここ以外でも会えないかなって。
連絡先、交換しません？」
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まり(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます☆全部読んで頂いてるなんて、嬉しすぎます！温かいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります。 (2019年10月12日 0時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 初コメですが、、以前から、コッソリとまりさんの作品大好きで、全て読ませて頂いております！低評価の件ですが、どうか気にする事なく、まりさん自身ムリのないよう更新頑張ってください！楽しみにしております(^^)/ (2019年10月11日 3時) (レス) id: 58f4b53075 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ○○さん» コメントありがとうございます☆私の作品を見つけて頂いてありがとうございます。だいぶ元気がでてきましたので、最後まで頑張ります！ (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます☆年上彼女がマズかったのか、と悔いていたので少し安心しました。確かに、誰かが評価してくれると直後に低い点を入れられる、と言うのが続いていたんです…最後まで頑張ります！ (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - りんりんごさん» コメントありがとうございます(^-^)温かいお言葉、励みになります。最後まで更新頑張ります！ (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり
| 作成日時：2019年9月20日 3時
