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貴久はズルい。
「ほんとは俺がAの1番近くにいたかった。
でも、きっと小山の方がAを大事にしてくれて…
Aのこと、傷付けたり泣かせたりしないだろうから…」
『勝手に決めないでよ』
「でも、実際小山と付き合って今まで上手くやってるでしょ。
俺は彼女いても結局Aのこと考えちゃってて…」
今さらそんなこと言われて、どうすればいいの?
『そもそも先に彼女作ったの貴久じゃん』
「ごめん…
それで、やっぱり上手くいかなくて、彼女と別れて…
そしたらそれから直ぐに小山が寝込んで学校休んで。今日は2人きりになれるって思ったら、ブレーキ利かなくなってた」
もう聞きたくない…
慶ちゃんと付き合ってても貴久のこと考えてたとか、ブレーキが効かなくなったのは私だって同じだ。
玄関の前に座り込んだ。
「ごめん。
俺、わかんないんだよ。こういう時、どうするのが一番いいのか。
変な感じになったままが嫌だって思ってちゃんと話そうと思ったけど、ダメだった。
もう俺からは連絡しないから…」
うん、会うのも連絡取るのももうやめよう。
待って、行かないでよ。
どっちも言えず、下を向いたまま、帰ってく貴久を見ようとすらしない私も、相当ズルい。
──────
『慶ちゃん…私たち、別れよう?』
ようやく決心がついたのは、それからまたしばらく経ってからの事だった。
「わかった。
今までありがとうね、A」
慶ちゃんはきっと、全部分かった上で知らないふりして今まで一緒にいてくれた。
貴久に彼女が出来た時、北海道に行った時、突然戻って来て急な告白された時、いっぱいいっぱい慶ちゃんに助けられたのに、私は慶ちゃんを傷付けてばっかりの最低な彼女だった。
『慶ちゃん、ごめんね』
ただただ申し訳ないばかりで涙が止まらない。
「泣かないでよ。二度と会えないわけじゃないんだし。
これからは友達として、何かあったらいつでも相談乗るからね。
A、俺はめっちゃ楽しかったし幸せだったよ」
慶ちゃんは最後の最後まで優しくて、私に激甘だった。
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慶ちゃんと別れたからと言って、すぐに『別れたよ』とか貴久に報告する気にもなれず、1ヶ月が過ぎた。
最近始めたコンビニのバイトに入れるだけ入って、ほぼ大学かバイトの生活を送っていたら時間はあっという間に過ぎたけど、やっぱりふとした時に頭に過ぎるのは貴久のことだった。
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まり(プロフ) - 美雨さん» ありがとうございます(*^^*)次作以降もよろしくお願いします☆ (2019年9月20日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 亜紀さん» ありがとうございます(*^^*)またお付き合い頂けたら嬉しいです☆ (2019年9月20日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 完結おめでとうございます。次作も楽しみにしてます! (2019年9月19日 0時) (レス) id: 97a72a3edf (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!!また読みたいです (2019年9月19日 0時) (レス) id: e90def3f5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2019年9月9日 0時