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「朝から予想以上に人が集まってしまって、急きょ整理券を配ったんです。
混乱を避けるために裏口からお入り下さい」
駅中のカフェに寄り道してコーヒーを飲んでたら書店の担当者からそんな電話がかかって来て、指示通りタクシーをお店の裏口に停めてもらった。
『私ちょっと見てきますね』
案内された事務室に加藤さんを残して、店内に出ると、イベント会場の周りにはすでに大勢の人が集まっていた。
ほぼ女子。
制服着たコからおばあちゃんまで。
加藤さんてモテるんだー。
改めて実感した。
『いってらっしゃいませ』
時間になって、黄色い歓声の中へ加藤さんを送り出そうとしたら
「何言ってんの。一緒に来るんでしょ」
何故か一緒に連れて行かれて、キャーキャー言われながら一人一人にサインと握手をする加藤さんを傍らで見守る羽目になった。
さすがに抱きついたりとかする人はいなかったけど、中々手を離さない人とか「好きですー」なんて言う人はいて、全部店員さんが対応してくれたけど、何度かハラハラする場面があって、にこやかに立ってようという私の計画は数分で終了してしまった。
また明日も来るということで、イベントを終えてすぐにお店を出た。
「時々すげー顔になってた」
タクシーの中で、加藤さんが笑いながらほっぺたをつついてきた。
『作家さんのサイン会というより、アイドルの握手会みたいで。ちょっとびっくりしちゃいました』
「それでヤキモチ妬いたんだ」
…そういう事だよ。
否定せずに頷いたら、
「かーわいいっ」
新幹線の時みたいに、私の肩に頭をコテンと乗せてきた。
幸いだったのは、加藤さんがサイン会直前にコンタクトを装着して、メガネver.を皆様に見られずに済んだことかな。
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「マジか。手越のやつ…」
さすがにこっちは驚いた。
というより、混乱した。
朝の新幹線の座席の件に続き、本日2度目の手越マジックが炸裂したのはホテルに着いてチェックインの手続きをした時の事。
「お待ちしておりました。
手越様のお名前でご予約承っております。
シングル3部屋からご変更で、デラックススイートご利用ですね」
慌てて電話したら、
「やっぱシゲちゃんクラスはスイートでしょ。デラックスだから寝室2つあるし、Aちゃんも満喫しちゃってー」
…切れた。
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まり(プロフ) - ミルフィーユさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年8月1日 21時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ミルフィーユ - 素敵な作品ですね♪ (2019年8月1日 11時) (レス) id: afdbcff378 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ゆっちゃんさん» コメントありがとうございます(*^^*)心臓にお気をつけてw今度ともよろしくお願いします☆ (2019年7月30日 2時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - 二通りの結末を書いて下さって感謝です!シゲちゃんの方なんてもう心臓に悪いですww (2019年7月30日 0時) (レス) id: 437531487c (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ウィローさん» いつもありがとうございます!このパターン、どうかなーと不安に思いながら書いてましたが、そう言って頂いて安心しました。これからも更新頑張ります☆ (2019年7月27日 2時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2019年7月25日 1時