第六話 亀甲貞宗捜索(in本丸) ページ7
・
夏はどうしてこうも暑いのだろう。
私は手にした温度計の数値を見て、唖然とする。
表示された数値は、35°C
暑いはずだ。
温度計を壁にかけ直し、むしむしとした廊下を歩く。
先程の小休憩もあってか、そう簡単にはバテなくなっている。
だがバテないと言っても、それは時間の問題。一刻も早く亀甲を捕獲しなければ、私が死んでしまう。
しばらく歩いて、畑が一望出来る廊下に出る。
ふと、畑を見ると土にまみれ、手ぬぐいで汗を拭い一生懸命畑仕事をする獅子王と、、、あれ、一人？
確か二人のはず、、と辺りを軽く見渡すと、花に水やりをする明石国行を見つけた。
一応花の水やりも畑仕事の一貫だけど、これでは獅子王が可哀想だ。
手伝うため靴を履き、外に一歩踏み出そうとした時、一気に体中から汗が吹き出るのを感じ、靴を脱ぐ。
暑い。これでは死ぬ。
すまない、獅子王。助けられそうにない。
心の中で謝るも、本人はテキパキと種を植える仕事をこなしていく。
『(…これは大丈夫……か？)』
彼の仕事ぶりに感心していると、こちらに気がついた様で、走って近づいて来た。
獅子王「よ！A。どうした？」
『……いや、特に何もない。けど…』
獅子王「…けど？」
『…畑当番、二人じゃ追いつかないな』
朝から初めて、今は昼だというのにまだ半分も進んでいない。
畑がとんでもなく馬鹿広いのも進まない原因の一つだ。
そんな現状を見て、獅子王は鈍い反応をする。
獅子王「…ん〜、まぁ少しな」
ぽりぽりと頬を掻く手には、豆が所々に出来ていて、痛々しい。
それでも一生懸命仕事をこなす獅子王を見て、私は懐に仕舞っておいた『主への頼み事覧』という紙を取り出し、メモをした。
『(……各当番の人数を3〜4人に変更っと)』
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結城(・・*) | 作成日時：2018年3月8日 4時
