第五話 夏は水分補給を忘れずに。 ページ6
そんなことを考えていると、突然冷たいものが頬に当たり、肩が跳ねる。
『…冷た…っ…』
頬に手をあて振り向くと、満面の笑みを浮かべた鶴丸が湯呑みを持っていた。
鶴丸「お！ドッキリ成功！なんてな！これ飲んで元気出せよ！」
はい、と差し出された湯呑みを、私は半ば奪う形で受け取り、口を付ける。
ほろ苦い冷茶は、水分を欲していた喉をゴクゴクと音をたてて流れていく。
無我夢中で飲み続けていると、あっという間に無くなってしまった。
ありがとう、と礼を言って湯呑みを木製テーブルに置く。
私を照りつけていた太陽も、屋根の下に居る今なら怖くも何ともない。
薬研「A、大丈夫か？」
不安そうな表情で薬研が私の隣に座る。
それにこくりと頷けば、そうかと微笑み、そういえばと口を開く。
薬研「Aは何でこんな暑い日に廊下をウロウロしてんだ？」
鶴丸「昨日までは、朝に主の手伝い(仕事)を済ませて、今頃俺達とのんびりしてた時間だろ？」
うん？と首をかしげる鶴丸と薬研の言葉に、回復したばかりの脳が急に動き始める。
『…………あいつ捕獲しなきゃ…』
そうだ、すっかり暑さでまた忘れていた。
監視ではなく、もう捕獲にしよう。
この暑さだ。きっとあいつもへばってそこら辺に転がっているに違いない。
それを回収して、この涼しい部屋に連れて来れば私も休めて、主への被害も防げて一石二鳥だ。
よし！と立ち上がり、再度廊下に出ようとする私を、首を更にかしげた鶴丸と薬研が見ていた。
鶴丸&薬研「「……あいつ？」」
*
第六話 亀甲貞宗捜索(in本丸)→←第四話 夏は暑い、暑すぎる。
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作者名：結城(・・*) | 作成日時：2018年3月8日 4時
