ポートマフィアの白衣の悪魔

中原中也生誕記念 四 ページ41

中也said

23:30

やっちまった

俺が急いで彼奴の家に行けば、まだ明かりは付いていた

ノックしても返事がなく、前に緊急時用に貰った鍵を使う

彼奴も仕事柄、急な仕事が多いからな

中「A……」

そっとリビングを見ると

中「寝てやがる」

キッチンを見れば少し片付いていない

机の上には沢山の魚介類の料理やクリームをふんだんに使ったケーキが置いてあった

中「真逆……」

『……中也くん？』

中「え、あ、ああ……起きたのか」

『……あ、すまない。寝ていたようだ……それで、誕生日が今日だろ？過ぎてしまう前に祝おう』

中「いや、だから別に……」

『……僕は、君の正体も知ってるし君とは幼馴染だ』

中「幼馴染？」

『うん。僕の記憶の世界で長くいる人は、中也くんと太宰くんだからね』

……ふーん

中「……悪くねェな。そういうのも」

『だろう？それに、何時も君にはお世話になってる。偶には良いだろう？』

そう言って椅子に座るよう言われて座る

『料理は苦手だけど、教えてもらったよ。多分これが最後だから』

中「いや、続けろよ」

そうつっこんで一口食べると

中「……普通だな」

『酷……お世辞でも美味しいといえば良いだろ』

中「でも、良いな。こういうのも」

高級でもそんなにねぇ料理

平凡っちゃあ平凡な料理が凄く美味い

『そしてこのワインだよ。メゾン・ジョセフ・ドルーアン シャサーニュ・モンラッシェ プルミエ・クリュ モルジョ マルキ・ド・ラギッシュ。中々美味しかったよ』

中「長いな……」

『敵から頂いてね。不味い毒入り』

中「何！？」

『嘘だよ』

中「毒が入ってたのか？手前それ飲んだのか？」

『五月蝿いなぁ、君は僕のお母さんかい？その為に僕が居るんでしょ？大丈夫だよ。解毒剤は飲んだから』

そういう問題じゃねぇだろ

……え、毒が入ってたのか……

中「……」

『安心して。ちゃんと給料で買った方だから。美味しいよ？』

そう言われて注がれたワインを飲む

中「へぇ、辛口か」

『ああ。だから西洋菓子(ケーキ)なんだよ』

誕生日だからじゃねぇんだな

ま、そこも手前らしいけどな

中「ありがとうな、A」

『僕の方こそ。何時も守ってくれて助かるよ』

そう言ってまた一口飲んだ









中「んにゃあ」

『しまった……すぐ酔うの忘れてた』

Aがこの後家まで送って行ったのは部下の数名が偶々目撃したとのことであった

人は見掛けによらないと言うが……→←中原中也生誕記念 三

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