第21話 王子面談―カイ1― ページ24
――――第二王子カイ 17歳
寡黙で滅多に公衆の面前に姿を現さない
軍の士官学校で暴力沙汰を起こして停学中であり、気性が荒いことで有名――――
カイ王子がお部屋にいらっしゃらず、私が大きな犬を見つけて追いかけると、なんと中庭にカイ王子が寝ていた。
……こうしてみるとマイペースな王子と思う。
暴力沙汰なんて周りが勝手に言っているだじゃないか、と思えるくらいにのんびりしているというか……
この人は見た目で損をしているだけじゃないかと思うんだよね。
少なくとも、自己紹介の時に敵意は感じなかったし。寧ろ歓迎してくれてた。
ちょっと口下手ではあるけどね。
「……カイ王子、こんなところにいたんですね」
「そうだねぇ。ちょっと可哀想だけどカイ王子を起こそうか、兄さん」
ぐっすり寝てるなー、と思ってカイ王子に近づいたら、急に目を見開いて――――――私たちの手を掴み上げた!
「「―――――ッ」」
私はまだ背伸びすればどうにか地面に着いているけど、兄さんに至ってはぶら下がってる。
……兄さんを片手でぶら下げるなんて、以外と腕力あるんだなぁ、カイ王子。
なんて場違いなことを思っていると――――――
ふにふにふにふにふに……
……?ふにふにされた……?
「「…………」」
「あの……カイ王子?」
「……間違えた」
そう言ってカイ王子は私たちの手を離して犬の肉球をふにふにし始めた。
……ヤバイ。とてつもなくふにふにしてみたい……!
「私もふにふにしていいですか……!」
そう言うと、犬が片手を上げてこっちに向けた。
「シャドウが……いいって……」
「ありがとうございます!
……ああ……ふにふにだぁ……柔らかい……!」
これがふにふにの力……!
これは堕落してしまいそう……
「こらロッティ。目的を忘れていませんか」
…………はっ!
「し、失礼致しました。
改めまして、ごきげんようカイ王子。お昼寝ですか?」
兄さんに言われなければ抜け出せなかった……←
「ここ……俺のお気に入りの昼寝場所……」
「閑静でいい場所ですね」
「時々全部がだるくなって……そうなった時、よくここで寝てる……」
あー……やっぱり王子という立場上、色々苦労するんだろうな……
「しゃべるのがだるくて……着替えるのもだるくて……息するのもだるくて……」
「……よく今まで生きてこられましたね」
どうやらカイ王子は思っていた以上にマイペースな方のようだ。
本当によく生きてこられましたね……
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cocolove420(プロフ) - あの・・・名前変換にできませんか? (2017年6月15日 2時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華憐 | 作成日時:2017年5月12日 3時