93話。貴方side ページ44
敦「そうか、他の犯行現場とか、銃で脅したとかはどうやって?」
太「そこまではお手上げだよ。乱歩さんの目は私なんかよりずっと多くの手懸かりを捉えているだろうし。」
敦「そうですよね、彼女の最後の言葉まであてちゃうくらいだから。」
太「ああ、あれはね...。」
いつの間にか中島さんと俺の数歩先を歩いていた太宰さんが不意に立ち止まり振り返った。
太「彼女の交際相手について、だよ。Aくんは、もう気づいているんじゃないかな。」
『ああ、はい。』
太宰さん、どうやって俺がその事に気づいたと判ったのだろうか。そんなことを言い当ててしまう太宰さんを見ていると、乱歩さんが異能力者では無いというのも理解がなんとなくだができる。
『先程云った通り、彼女がつけていた腕時計は海外のブランドものでした。独り身の女性が自分用に買う品ではない。それと杉本巡査の腕時計も、同じモデルの紳士用だった。』
敦「じゃあ、あの二人は」
太「早朝の呼び出しに、化粧もせずに駆けつける。そして同じモデルの腕時計。」
『二人は、恋人同士、だったんですね。』
太「だから彼は、彼女の顔を蹴って砕くことができなかったんだ。そうしないと、マフィアの仕業に見せかけられないと判っていても。」
どうしてあの二人だったのだろうか。杉本巡査だって山際女史を殺したくなかった筈で、山際女史だって勿論それを望んでなどいなかった。
恐らく、山際女史は杉本巡査に呼び出されたときに杉本巡査の抱えるものに気づいたのだろう。
だから、"ごめんなさい"なのか。
それはいったい何にたいしての謝罪だったのだろう。今まで気づけなかったことか、彼の手によって事故のようなものではあるが殺されてしまったことか。
乱歩さんなら、判ったのかもしれない。
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空李(プロフ) - かなとさん» すみません、ご指摘ありがとうございます。 (2019年5月9日 18時) (レス) id: 154a99d2ca (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年5月9日 18時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空李 | 作成日時:2019年5月9日 17時