チョコレートが八十九個 ページ46
お互いの呼吸が止まる。
風が止み、鳥どりも泣き止む。
全てのものが止まったように感じられた数秒、先に動いたのは男の方だった。
私の姿を両の眼で捉えると、まるで亡霊を見てしまったかのように叫んだのだ。
「う、うわぁぁー!!」
男は勢いよく尻もちをつき、そのまま後ずさる。私も早くこの場から逃げ出したいのに、先程の叫び声で再び腰が抜けてしまったらしく力が入らない。
男の叫び声が聞こえたからか、少し慌てた様子の年配の男が駆け寄ってきてしまった。
最悪だ……。
逃げ出すことも出来ずに、ただ男たちの方をじっと見ていることしか出来ない自分に腹が立つも、もちろん恐怖心の方が勝る。
手に持っている錫杖をギュッと力強く握るも、もう太陽が昇ることを見ることはないのではないかとまで思えてきた。
しかし、そこまで考えてふと気づく。
男たちが近寄ってくる気色がないのだ。いや、どちらかというとまるで私に対して恐れ戦いているようだ。
「その錫杖は……。くそッ、なんでここに……! 元々俺たちを生かす気なんてなかったってことかよッ」
年配の男が叫ぶ。男はとても興奮しているようだった。
「どおりで、子供を攫ってくるだけでこんな大金、おかしいと思ってたんだ!! えぇ!? そうなんだろ!? 俺たちを殺しに来たんだろッ、あの男の命令で!!」
そこまで叫ぶと男は刀に手をかけ、勢いよく鞘から刀身を抜き出す。そして、その刃先を私に向け、なおも叫び続ける。
「お前らの思い通りになんてさせてやるものかッ! おい、何をボケっとしてやがる!! さっさとそのガキを捕まえねェか!!」
「ぁ……へ、へい!」
男の叫んでいる内容から推測するに、どうやら男は私のことを誰かと勘違いしているようだ。
しかし、そうこうしているうちに若い男が私の方に恐る恐る歩み寄る。私に分かることは、このままではもうトシに会えなくなるということ。
両足にグッと力を込め立ち上がり、錫杖を構える。もちろん、こんなものを使ったことなんて1度もないのだから使い方どころか戦い方も分からない。
どうするべきか……。
そう思ったとき、腰を低くしながら近寄ってくる若い男の後ろから、刀を振り上げた年配の男が姿を現し、私に向かって思いきり刀を振り下ろした。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー食べ物……かもしれない!
誰かのもんじゃ
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梍鵺(プロフ) - 梨音さん» 今回もダークマターでした。呪われているのでしょうかね…。しかし、ダークマターって作れるものなのでしょうか?(笑)寿司を作る時も妙さん、ダークマターになっていたのでね…ある意味才能(笑) (2019年10月16日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
梨音(プロフ) - 梍鵺さん» なんですって!?可笑しいですね…一応十種類以上ある筈なのですが…。ま、まぁ、お妙さんの手料理を振る舞われている訳ですから、きっとお気に入りなんでしょう!! 今回はどうでしょう?もしまたダークマターでしたら、実際に作ってみては?← (2019年10月16日 22時) (レス) id: 2014aa6b49 (このIDを非表示/違反報告)
梍鵺(プロフ) - 梨音さん» 今日のラッキー食べ物もダークマター!?!?ほっ他のもあっありますよね?妙さんに嫌われているのでしょうかね?近藤さんよりはマシだと思うのですがね…。G(生命力がゴキブリ)と同類…考えたくもねーや← 人生リセットボタンならぬ人生リセット食べ物ですね() (2019年10月15日 21時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
梨音(プロフ) - 梍鵺さん» なんと…! ……最近、嫌な思い出はありませんか?そんなときは、ダークマター! 嫌な記憶がさっぱり抜け落ちます!もれなく良い思い出も消え去りますが…。人生のリスタートには、ダークマターが必需品です!! …何を言っているんでしょう。 (2019年10月15日 20時) (レス) id: 2014aa6b49 (このIDを非表示/違反報告)
梍鵺(プロフ) - 続きも気になりましたが…ラッキー食べ物がダークマター…だと!? (2019年10月13日 16時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨音 | 作成日時:2019年7月21日 21時