【銀/魂】戦場を嫌う黒い鬼 弐【坂/田/銀/時】

チョコレートが六十九個 ページ26

山崎side


素鼠色と彼女は言うが、そんな言葉は耳にしたことがない。俺が首を左右に振れば、んーとね……と続ける。


『墨の五彩ってやつがあるんだけどさ、素鼠ってその中でも重(・)にあたる中明度の色なんだって。灰色と似てるけど帯びている色が違うーみたいな感じかな』


どうやら日常生活でもあまり使わなそうな単語だ。けれど、彼女は少し楽しそうに俺に教えてくれた。


『白い方から白鼠(しろねずみ)、銀鼠(ぎんねず)、素鼠、丼鼠(どぶねずみ)、墨色(すみいろ)ってあるんだけどね──』


10年前の攘夷戦争にいた白い鬼と黒い鬼から始まる。

知恵より力の白い鬼と、力より知恵の黒い鬼。白い鬼は銀色(しろがねいろ)と同色の白鼠色であり、黒い鬼は墨色だと云われた。

得意なことも性格も正反対だという二人の鬼を合わせたのが、真ん中にある素鼠色だった。


『──んで、その二人から隊の名をとったらしいよ』

そう言って、彼女は微笑んだ。


───────────
────────
─────


そんなこんなで、あっという間に屯所に着いてしまい、現在に至る。

彼女が意味もなくあんなことを話すとは思えないし、何かを伝えたかったのだろうか。しかし、どれだけ考えても彼女の意図が読み取れない。

もうありのまま書いてしまおうかと思い筆をとる。だが、再び自分の手が止まる。


彼女は俺にあんぱんをくれて。

微笑みはたまさんの次に素敵で。


俺にこの件を話していたときの副長の瞳と、帰り道で微笑んだ彼女の瞳が重なる。

どちらも同じ紺青色の瞳で……悲しい色を帯びている瞳だ。


気がつけば文章の続きは既に書き終えていた。


『副長から命令されていた別の件ですが、監察を続けていた限り、彼女に不振な点は見つかりませんでした』


副長と同じ瞳をしている彼女を信じてみたいと思ったから。

チョコレートが七十個→←チョコレートが六十八個

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー食べ物……かもしれない！

誰かのもんじゃ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す