チョコレートが六十二個 ページ19
立ち上がった山崎を見て、寝る時に外した木刀と真剣を腰にさす。
「Aちゃん……?」
刀を装着したのはいいが、そこから動かない私を見て何を思ったのか、山崎が私の顔を不思議そうに覗き込む。
「……いや、なんでもないよ」
しばらく山崎の瞳を見つめ返してから逸らし、そう答え立ち上がった。
この感覚は10年前、戦場で嫌というほど経験したことがある。……胸騒ぎというやつだ。高杉はもしかしたら、もうこの江戸に来ているのではないか……、そんなことが頭を過る。
不意に窓から見えた月は、まるでそんな私を嘲笑うかのように強く光り輝いていた。
───────
────
サ……サ……、と男の草鞋と地面が擦れる音がする後ろを、僅かな物音も立てないように、慎重に進んでいく私たち。
幸いにも今夜は月明かりがあり、手元の灯りで相手に気づかれることはなさそうだった。
見張っていた古屋から男が出てきたのは10数分前のこと。先程までは匂わなかったが、今は微かに潮の匂いがする。どうやら、男は噂通り港へ向かっているようだ。
さらに進むこと数分、ようやく港が見えてきた。それと同時に、遠くからも認識していたが、距離が縮まるにつれ大きくなる1隻の船。
その下に、男の相手が静かに佇んでいた。
月の逆光のせいで相手の顔が影になってしまい見えないが、背丈と体格で男だということは分かる。身長は大体170後半といったところだろうか。……てっきり高杉だと思っていたのだが、私の予想は外れたらしい。
相手が高杉ではないことを確信し、安堵のため息をつく。一気に緊張感が解けた感覚だ。
……いや、今からさらに集中しなければ。
無言で隣にいる山崎の目を見て、互いに頷く。
ここからがいちばん重要な任務だからだ。奴らの密会から、次の予定はいつか、何処かを導き出さなければならない。
少しも聞き逃さないよう、私の背丈ほどあるドラム缶の影から、相手にバレない程度に顔を覗かす。
「……ッ…」
「……で…しん…」
微かな声が波の音にかき消され、会話の1部しか聞こえない。山崎の方を見れば、彼も同じらしく首を横に振る。
ふぅ……と一息ついてから、全神経を耳に傾ける。かつて、ここまで集中したことがあっただろうか、というぐらいだ。
しかし、その必要もなく、彼らの足音が近づいてくる音がした───。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー食べ物……かもしれない!
誰かのもんじゃ
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梍鵺(プロフ) - 梨音さん» 今回もダークマターでした。呪われているのでしょうかね…。しかし、ダークマターって作れるものなのでしょうか?(笑)寿司を作る時も妙さん、ダークマターになっていたのでね…ある意味才能(笑) (2019年10月16日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
梨音(プロフ) - 梍鵺さん» なんですって!?可笑しいですね…一応十種類以上ある筈なのですが…。ま、まぁ、お妙さんの手料理を振る舞われている訳ですから、きっとお気に入りなんでしょう!! 今回はどうでしょう?もしまたダークマターでしたら、実際に作ってみては?← (2019年10月16日 22時) (レス) id: 2014aa6b49 (このIDを非表示/違反報告)
梍鵺(プロフ) - 梨音さん» 今日のラッキー食べ物もダークマター!?!?ほっ他のもあっありますよね?妙さんに嫌われているのでしょうかね?近藤さんよりはマシだと思うのですがね…。G(生命力がゴキブリ)と同類…考えたくもねーや← 人生リセットボタンならぬ人生リセット食べ物ですね() (2019年10月15日 21時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
梨音(プロフ) - 梍鵺さん» なんと…! ……最近、嫌な思い出はありませんか?そんなときは、ダークマター! 嫌な記憶がさっぱり抜け落ちます!もれなく良い思い出も消え去りますが…。人生のリスタートには、ダークマターが必需品です!! …何を言っているんでしょう。 (2019年10月15日 20時) (レス) id: 2014aa6b49 (このIDを非表示/違反報告)
梍鵺(プロフ) - 続きも気になりましたが…ラッキー食べ物がダークマター…だと!? (2019年10月13日 16時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨音 | 作成日時:2019年7月21日 21時