赤緑短編集

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side青




神ちゃんはわかりやすい。


たいして飲めんくせにさっきから無理やりビールを口に運んでは、ずっと取り留めのない話をしとる。


無理にそんな喋らんでもいいのに.....


まぁ、そうやって気を紛らわしとるんやろけどな...。








神ちゃんがしげのことを特別に想っとるのはずうっと前からわかっとる。



...シンメやし年も近いし、一緒におった時間が長いから仲がいいっていうのもわかる。


やけど...神ちゃんは誰にでもおんなじように優しかったんや。

そんなふたりがいつの間にか特別なふたりになってしもた理由は.....



しげや。



しげの神ちゃんに対する態度が明らかに他の奴へのそれとは違ったからや。

他のメンバーには何でもずけずけと言うし、ウザ絡みしてくるし、素の自分をみせとるしげが...
神ちゃんにだけはそれをせえへん。

神ちゃんの前では言葉を丁寧に選んで、

まるで神ちゃんを傷付けないように、傷付けてしまうんが怖いかのように.....

神ちゃんに接しとる。



やけどそれは凄く残酷や。

くっ付いたり離れたり、しげの神ちゃんに対する愛情は、凄く残酷やと思う。


現に神ちゃんはそんなしげに振り回され、それでも特別やと想っとる.....



いや、



特別やって錯覚してしもうてるんや。







俺は絶対にしげを認めへん。






神ちゃんが大切なら神ちゃんだけを大切にすればええ。

なのに淳太や誰や彼や、愛想振りまいとるお前を俺は絶対に認めへん。






俺はずっと.....





ずっとずっと.....





神ちゃんだけが特別なんや。





俺やって神ちゃんとは付き合い長いねん。

俺はいつでも神ちゃんの味方してきた。

せやのにくっ付いたり離れたりするしげの方が神ちゃんの心を手に入れるなんておかしいやろ？





神ちゃんがしげを特別に思うその気持ちが愛やということに気付いてしまう前に、




神ちゃんを俺のものにする、





そう決めたんや。

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