赤緑短編集

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『あの..........』



顔を上げるとカウンターの向こうから、まだあどけない顔つきをした男がこちらを見ていた。



『あ、あの...いらっしゃいませ』


『あ、あぁ...。 どうも』

そうや、ここはそういう店やったな...

『初めてのご来店...ですよね？』

『あ、おん。この店もやしこういう店は初めてやねん』

『あ...そうなんですね.....』

..............................






.....ん？

おわり？

こういう店って盛り上げ上手の話し上手なやつが店員なんやないん？！

質問しといてそうなんですねで終わりかい!
そのまま俯いてカウンターでなんかやっとる風やけどめちゃくちゃ気まづいわ...。

...てかこいついくつやねん。

髪は金髪で両耳にピアスめっちゃ空いとるけど全くチャラさを感じひんし、なんや訳ありで働かされとる感満載やな...。
やっぱり夜の店は苦手や...


そう思い隣の方に目をやると、

『アキトでぇーーす‼』
とハイテンションな店員が上司の相手をしとってめちゃくちゃ盛り上がっとる...
なんや、俺もあっちの店員さんがよかったわ。
まぁ俺より上司のほうにそりゃ売れっ子がつくわな...。
しげはしげでいつの間にか向こうの女グループの方に移動して盛り上がっとるし.....‼




はぁ...

それにしても、



未だ下を向いたまま所在なさげに、俺にどう話しかけたらいいか困っとる男を見て



ハズレやな........そう思った。




仕方がないので、

『...なぁ、おにいさんいくつなん？ずいぶん若くみえるけどこの仕事はじめたばっかなん？』

暇つぶしに目の前の男に話しかけてみた。

『えっ、あっ、えと...』

.....急に話しかけられてテンパっとる。

『あの......18からやっとるんで、6年目になります...』

『えっ？』

お、思わず口に出てもうた...
そんな接客でよく6年もつとまったな...てか、

『てことは今24なん？』

『あ、はい...』

『なんやもっと若く見えるなぁ。18ぐらいか思ったわ...よく言われへん？』

すると...男はみるみるうちに顔を真っ赤にして

『い、いわれへんもん...』
小さな声でそう言った。しかも気のせいかちょっと口を尖らせて.....

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