・ ページ9
『ここ？』
「はい！ここです！ありがとうございます！」
助手席に乗った、レモンをいっぱいに抱いた谷地仁花ちゃんにそう聞く。
車の中で互いの自己紹介、そして彼女からバレー部という事を聞いた。
またバレー部、か。
こんなにも小さい体でマネージャーを務めてるとは凄いな。
森然高校…初めて聞いた。
場所は埼玉だが、ほとんど東京寄りだったので、近かった。(捏造入ります。ごめんなさい。高専は東京の郊外なので、勝手に埼玉よりと設定しました。)
『止めるのはこの辺でいいかな。よし、じゃあ行こうか。荷物貸して。』
「え！？大丈夫です！流石にそこまでは…！」
『また落としたら大変だよ。遠慮しなくていいよ。好きでやってるから。』
「いや…でも…」
『いいから。ほら。』
「うぅ…ありがとうございます！この恩は生涯忘れません！」
『ふふ。大袈裟すぎ。』
この子、本当にいい子なんだろうな。きっと周りにも好かれてるだろう。
彼女に私の車にあった袋にレモンを入れ、それを持たせた。私は他の食材を持つ。
＊
「お待たせいたしました！！」
家庭科室？
そこにはたくさんの食材と、他の女子生徒がいた。
「仁花ちゃん。ごめんね。重かったでしょ。こうなるならもっと買っておけばよかったね。」
黒髪の眼鏡の女性。
「いえ！大丈夫です！実はこのお方にここまで送って頂きました！」
「…？」
『こんにちは。赤崎虹って言います。彼女がレモンをぶちまけてるところに会いまして。少し心配なのでここまで来てしまいました。』
「！そうだったんですね。ありがとうございます。私は、清水潔子です。」
とても礼儀正しい。少しだけ、頭にあの金髪が過ぎる。彼女に見習ってほしい。
『これは…何を作っているの？』
清「カレーです。夜の分ですが人数が多い分時間がかかるのでこの時間から作り始めるんですよ。」
確かに、周りを見るとかなりの量だ。
清水「他にもマネージャーはいるのですが、全員でやってしまうとマネージャーの仕事が滞ってしまうので、時間を分けて分担しているんです。」
確かにそうだな。
『私も、少し手伝ってもいいかな。今日は休みだから暇なんだ。…あ、部外者だからダメだよね。』
清「…そうですね。少し先生に確認してきます。ここで待っていてください。」
彼女は教室から出た。
流石に、迷惑だったかな。やっぱり帰ろうかな。
…いつから私は、自分から人に関わろうと思うようになったのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 422人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杏 | 作成日時：2021年12月6日 13時
