検索窓
今日:5 hit、昨日:62 hit、合計:188,365 hit

日常 ページ20

帰りの時間になった。

今日は、疲れた。


もう帰ろう。


立ち上がり、鞄を手に取る。

その時、横から腕を掴まれた。


「なあ、ちょっとええ?」

隣の席の双子の子だ。

『…貴方と話す事、ないよ。』


「俺にはあるで。なあ少しだけや。」


『悪いけど、疲れてるから。』


腕を振り払おうとするが、思ったよりも強い。


これ以上は、怪我をさせてしまう。強く出れない。


『あの、』


「話してくれるんやったら離すで。なあどうする?」



『…少しなら。』



彼はそのまま私の手を引き、教室を出る。


向かった先は、校舎裏の、私がいつもお昼を過ごしている場所。



「ここなら誰も来ないやろ。」




『…それで?話って何かな。』


おおよそ検討はつく。


「北さんのこと、なんやけど、」


ほら。やっぱり。




『前の席の子にも言ったけど、私は彼とはなんの関係もない。人間違えじゃないかな。』




「前の席の子って…俺らの名前わからへんの?二日間も過ごした仲やん。」


『…知らない。』


「はぁ〜。俺の名前は宮治。前の席のやつは、角名倫太郎や。あ、俺のことは名前で呼んでな。双子の喧しい片割れがおるから。」



『……。』



「あんた、ほんと表情変わらんよな。ずっとそのまんまや。」


だから、なんだよ。


『それが貴方に何か関係ある?』



別に誰にどう思われても、いい。


どうでもいい。


「可愛くないやつやな。ほんまに北さん、どこがええんやろ。」


彼の名前を、出さないでほしい。


『帰っても、いいかな。』


「ちょお待ち!まだ話は終わっとらん。」



『じゃあ、早くしてくれる?』

時間の無駄としか思えない。


「ははっ。そんな顔もするんやな。ちゃんと怒れるやん。」


怒る?私が?顔に、出てた?


そうか。私、今怒ってるんだ。


『…話すことは、ないみたいだね。さよなら。』


「あ、ちゃうんよ。えと、北さん、のこと、なんで知らんふりするん?人間違いやないやろ。あんたの名前、珍しいし、そんなコロコロいないやろ?」


そうだね。珍しいよ。私の名前は。

この名前に生まれて、嬉しいと思ったこと、ないけど。



『…そうだね。もういいや。この際、言っておく。』


「ん?なんや?」


『私はな、お前らパンピーと遊んでる時間も暇もないんや。二度と話しかけんな、二度と関わんな。ええな。』


それだけを言ってその場から去る。


彼の顔は、肝を冷やしたような、驚いた顔をしていた。



あーあ、

日常2→←理由3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (66 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
206人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年10月22日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。