日常 ページ20
帰りの時間になった。
今日は、疲れた。
もう帰ろう。
立ち上がり、鞄を手に取る。
その時、横から腕を掴まれた。
「なあ、ちょっとええ?」
隣の席の双子の子だ。
『…貴方と話す事、ないよ。』
「俺にはあるで。なあ少しだけや。」
『悪いけど、疲れてるから。』
腕を振り払おうとするが、思ったよりも強い。
これ以上は、怪我をさせてしまう。強く出れない。
『あの、』
「話してくれるんやったら離すで。なあどうする?」
『…少しなら。』
彼はそのまま私の手を引き、教室を出る。
向かった先は、校舎裏の、私がいつもお昼を過ごしている場所。
「ここなら誰も来ないやろ。」
『…それで?話って何かな。』
おおよそ検討はつく。
「北さんのこと、なんやけど、」
ほら。やっぱり。
『前の席の子にも言ったけど、私は彼とはなんの関係もない。人間違えじゃないかな。』
「前の席の子って…俺らの名前わからへんの?二日間も過ごした仲やん。」
『…知らない。』
「はぁ〜。俺の名前は宮治。前の席のやつは、角名倫太郎や。あ、俺のことは名前で呼んでな。双子の喧しい片割れがおるから。」
『……。』
「あんた、ほんと表情変わらんよな。ずっとそのまんまや。」
だから、なんだよ。
『それが貴方に何か関係ある?』
別に誰にどう思われても、いい。
どうでもいい。
「可愛くないやつやな。ほんまに北さん、どこがええんやろ。」
彼の名前を、出さないでほしい。
『帰っても、いいかな。』
「ちょお待ち!まだ話は終わっとらん。」
『じゃあ、早くしてくれる?』
時間の無駄としか思えない。
「ははっ。そんな顔もするんやな。ちゃんと怒れるやん。」
怒る?私が?顔に、出てた?
そうか。私、今怒ってるんだ。
『…話すことは、ないみたいだね。さよなら。』
「あ、ちゃうんよ。えと、北さん、のこと、なんで知らんふりするん?人間違いやないやろ。あんたの名前、珍しいし、そんなコロコロいないやろ?」
そうだね。珍しいよ。私の名前は。
この名前に生まれて、嬉しいと思ったこと、ないけど。
『…そうだね。もういいや。この際、言っておく。』
「ん?なんや?」
『私はな、お前らパンピーと遊んでる時間も暇もないんや。二度と話しかけんな、二度と関わんな。ええな。』
それだけを言ってその場から去る。
彼の顔は、肝を冷やしたような、驚いた顔をしていた。
あーあ、
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作者名:杏 | 作成日時:2021年10月22日 14時