貴方と同じ、普通に生まれたかった【北信介】【呪術廻戦】 (ページ16)

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再会8 ページ16

北信介side

朝、部活を終えすぐに片付けを済ませる。

そして、治の教室へと向かう。

入り口で、彼女を待つ。

「き、北さん、どうしました？」

治にそう聞かれるが、

「なんもないで。自分の席に戻り。」

治の隣の席と言っていた。

その先を見るとまだ誰も来ていないようやった。

8時25分。あと5分で朝会が始まる。

流石に遅れるわけにはいかん。また昼の時間にでも来るかと思った時やった。

目の前を、黒い髪の、自分よりも20センチ近く背の低い女が通った。

彼女は赤い髪だ。この子やない。

そう思ってその場を去り、自分の教室へと向かった。

＊

昼の時間になり、昼食を早めに食べ終え、治の教室へと再び向かう。

やけどそこに、治の姿はなかった。
そしてその隣の席も。

「角名、治はどこ行ったん？」

「多分トイレか購買だと思いますよ。昨日もすぐどこか行っちゃいましたし。」

「ほか。ありがとな。」

治に聞こうと思ったが本人がいなんなら無理やな。

昼の時間が終わるまで15分。

もう少し待つことにした。

10分程待っていると、また朝に通った黒い髪の子が目の前を通り過ぎた。さらにその後ろには治がおった。

「…？北さん？来とったんですね？」

「まあな。治、昨日言うとった子なんやけど…どこにおるかわかるか？」

そう言うと治は首を傾げ、

「？今北さんの目の前通り過ぎましたよ。」

「は？」

そして振り向いた先、その席には。

真っ黒い髪をした、さっきの子がおった。

いや、そんなはずない。だってあいつは赤い髪をしとんのやで？あの子はどう見ても黒い髪や。

やけど今の時代、染髪が当たり前の時代や。双子もそうやし。

おそるおそる、近づいた。

ゆっくり、ゆっくり。

そして、座る彼女の前に立つ。

「な、なあ、」

彼女は、顔を上げなかった。

「こ、虹…？」

すると、彼女はゆっくり顔を上げた。

「虹…虹…やな…っ。」

その顔は、やっと会えた、彼女だった。

夕焼けを閉じ込めたような、綺麗な透ける瞳。

俺が大好きやった目や。

「今まで…なにしてたんやっ。ずっと…探してたんやで…虹っ…。」

彼女を力強く抱きしめた。

しかし、その腕は振り払われた。

『貴方、誰ですか。いきなり抱きついてきて、気持ち悪い。出てってください。』

彼女のはずやのに。彼女で間違い無いのに。

優しくて大好きやった彼女の瞳は、今俺を捕らえている。

まるで敵意を向けるように。