【まほみち】うちの子まとめ【やまざき】 (ページ30)

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「もし妾が人を呪うとするならば、きっと───────幸福の絶頂が訪れた時に、深く、深く絶望するよう祈るわ。罪の精算とはそういうものなのよ。だから、本来なら妾は幸せになるべきではないの。だってそれは、大いなる破滅の前兆であるから」

「……この魔法道具は、妾が、不吉の体現者であることを忘れない為のもの。ある種の戒めとも言えるわ」

「お前、自分が偉いとでも思ってる？非常に腹立たしいわ。醜い芋虫にでも変えてやろうかしら。地面に這わせるか、あるいはそのまま外にでも放したらその粗末な頭も冷えるでしょう。それがいい、それがいいわ。お前への罰を決めたわ」

「崇高なる妖精妃(ティターニア)。久しい響きだわ……お前はアレの本当の意味を知らないのでしょう。矮小な妾の姿見を、”妖精のようだ”と馬鹿にしているのよ。さあ、これで無知では無くなったわね。二度と口にしないで」

「魔法ほどの神秘を持ってしても、どうしようもなくて救いようのない現実を妾はこの双眸で幾度となく見てきたわ───────それでも、奇跡を願わずにはいられなかったの」

【その他備考】
《崇高なる妖精妃(ティターニア)》の異名を轟かせた1000年の時を生きる魔女。
現在こそ賞賛の符号として知れ渡ったそれだが、事の発端は小さなティターニアを名前通りの”妖精”だと揶揄うもの、つまりは蔑称だったという。その為本人はこの呼び方をされるととても機嫌を損ねる。

先の戦争では前線を主な戦場とした。ティターニアはあまりにも繊細で可憐な出で立ちであったが、その妖精は数多くの命を奪い、同時に、奪われた。当時の記憶は目に焼き付いており、ひどく悔いている様子で、現在も”己は幸せを手にする資格がない””もしそうなった時は、罪の因果が全て雪がれる”と自責し何もかもを恐れている。だが、罰を求めているのもまた事実だ。彼女は審判の日を、待っている。
胸元には当時の傷跡が残っている。深々と穿たれたような傷で、彼女はこれを自らへの戒めとしているようだ。

自身や生徒のことを占うのが毎朝の日課。親しい間柄であれば、良し悪しを問わず結果を挨拶がわりに伝えてくれる事もあるだろう。

出身は清明。科学技術・魔術どちらの側面も併せ持つ家系の生まれである。幼い頃の彼女はいずれの分野にも携わりめざましい能力を発揮したが、とりわけ魔術の才に長けていた為、偉大な魔法使いになるべく教育を与えられてきた。