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｢この学院の生徒は可能な限り記憶しているよ。皆と友人とまでは行かなくとも、交流の機会を得たいからね。私が一方的に知っているのも居心地が悪いから必ず一度挨拶しに行っているのだけど、皆引き攣ったような笑みを浮かべるか冷ややかな視線を向けてくるんだ。もしや私の美貌を前に言葉も出てこないのだろうか…顔がいいと困るな…｣
「座学は苦手？なら実践してみようじゃないか！」
「それはつまり……恋だね！」
「君の話を聞かせておくれ。君のことが知りたいんだ」
「すこし、待って欲しい。笑わないで欲しいのだが、こういった事は、私……経験がなくて……どうすればいいか……手ッ！手を繋ぐ事から始めないか！」
「もうずっと昔の話だ。家の近くに広く綺麗な湖があってね、私はふと思い立ってそれを覗き込んでみた。するとどうだろう、水面に美少年が映り込んでいたんだ……そのまま落ちてしまった時は使用人たちを酷く困らせたよ。彼も珍しく血相を変えていたなあ」
「金馬の生徒が君たちに粗相をしたようだね。寮長として、謝罪させてもらおう。すまなかった。」
「ふふ、そんなに私の髪を触ってどうしたんだい。今日の君は大きな猫のようだね。いいや？愛らしいよ とても」
｢お節介だったかな、すまない。どうにも昔から皆の世話を焼くのが好きみたいでね……手のかかる子ほどなんとやら、とも言うだろう？あれこれ応援したくなってしまうんだ。｣
「今日はうんと可愛くしなければいけないね。此方へおいで、世界で1番のお姫様にしてあげよう」
｢私は自信はあるが満足はしていないし、胡座を掻くつもりもないよ。更に高みを、完璧を目指してこそ皆の上に立つ者足り得るのさ。それに君とて見てみたくはないか？更に輝きを増した私を！ハッハッハ、そうだろうそうだろう！！｣
｢その言葉を待っていたよ、私は恋愛相談も大歓迎さ。うんうん、矢張り恋をする者は皆総じて美しいね。勿論君も例外ではないとも！ささ、早く座りたまえ。今なら紅茶とお茶菓子も用意するよ。紅茶部で培った成果を披露したいからね｣
「───────あ …………ッすまない、いつからそこに？情けない姿を見せてしまったね。忘れてくれるかい？……ふふ。君はそう言うと思ったよ。本当に、優しいのだね」
「あの子は自慢の妹だよ。何があっても、何を思われようと 私の思いは永劫潰えることは無い」
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作者名：やまざき | 作成日時：2020年6月29日 23時
