*episode26_こっち見て… ページ28
シフトを終え、文化祭を回る。
まあ、そうよね。臣くんは人混み嫌いだし......。
でも、たまたま会った中学からの友達と
そこそこ楽しんでいた。そこそこ......。
「ほりー、次お化け屋敷は?」
「断固拒否」
「だよねえ。知ってる」
なら、なんで聞くのさ、とぶさくれれば、
ケラケラと友達は笑う。酷い。
友達が開いているパンフレットを覗きこめば、
先程さしたお化け屋敷はもりくんのクラスだった。
もりくん、シフトかな?
事前に聞いていなかったため、誘えなかった彼。
いや、そもそも社交的で明るい彼はすでに回る人いたかもだし。
私なんか......。
そこまで考えて、やめる。
___「同じだよ。それだけだよ」
あのときの、真剣な目。優しい声。
いつも私と目を合わせるように屈んでくれる素敵な人。
思い出すだけで、心臓がぎゅっとなる。
いや、考えるだけで......ぎゅっとなる。
「何してるかな......?」
「は? たこ焼きでしょ?」
「えっ?! あ、うん。そうだね!」
「......どったの?」
「いいえ。なんでも」
「変なほり。早くいこ」
そういって強引にひかれる腕。
本当は......みんなと回りたかった。
みん、な......と?
本心なはずなのに、何故か違和感。
ああ、嘘。何故か、じゃない。わかってる。
「ほい、ほり! あーん」
「あー、あつっ」
「そらそうだ」
あははは、と笑う友達に頬を膨らませる。
でも、楽しい。
でも、物足りない。
ふと、見上げた窓に、彼の後ろ姿が見えた。
日差しとガラスでより眩しい。
それなのに、見つけてしまった背中。
こっち......気づかないかな?
今度こそちゃんと食べさせてもらった、たこ焼きを咀嚼し、
もう一度さっきのところを見上げれば、パチッと音がした。
周りにはわからない。
たぶん、私ともりくんだけがわかった音。
びっくりで固まる私に、
もりくんは笑って手をふった。
私は放心したまま、なんとか手だけはふった。
「ほり? どうしたってなんで真っ赤?!」
「わーわーわー!!」
「え、なに?! どうした?!」
気づいてくれたっ。
気づいてくれた!!
嬉しさが爆発した。けど、
「あ、
それもすぐに鎮火した......。
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作者名:星蛍 | 作成日時:2020年3月31日 14時