°３３ ページ35
元の気に戻り張り込みを再開しようとしていると、右の方から話し声が聞こえてきた。
"｢待て待て、落ち着けって!!アンタは俺の獲物じゃないよ!｣"
｢レオリオ!?…と、トンパさん。｣
そっと覗いてみると、そこに居たのは鉢合わせしたのであろう2人で。
なんだか混ぜるな危険、って感じで、レオリオは今にも掴みかかりそうだった。
｢そういえば、クラピカの獲物って。｣
｢ああ、好都合だ…。だが少し見ていよう。｣
｢だけど、レオリオのプレートが取られちゃったら?｣
｢試してみるんだ、あいつを。｣
音を殺して、トンパさんの後ろの茂みに隠れる。
クラピカはレオリオを試すつもりでいるらしい。
けど私は罪悪感があったから、いざとなれば私が出て彼を助けよう、なんて考えてて。
暫く口論した後、レオリオは自分の獲物の番号が記されたカードをトンパさんに見せた。
246番。
確か、何処かで…。
｢それって、ポン…!｣
ハッとして叫びそうになった私の口を、瞬時にクラピカが塞ぐ。
そのまま彼は、動揺したように囁いた。
｢知り合いか!?｣
｢トリックタワーで一緒だったの!
したでしょ、'罠の間'の話。｣
"そうか"とクラピカは呟くと、深呼吸して視線を2人に戻す。
私も嫌な胸騒ぎを感じながらそれに倣った。
＿すると、レオリオの後ろから別の男が現れて、彼を棒で殴ろうとしていた。
ぐっと拳を握りしめ、駆け寄ってしまいそうになるのを抑える。
…レオリオは間一髪で攻撃を避けられた。
でも、棒の男の猿にプレートを奪われてしまって。
｢悪く思うなよ、騙される方が悪いのさ!!
それにチームプレイはハンター試験じゃ常識だぜ!?｣
大笑いしながら、此方へ駆け出したトンパさん。
それを見ると、待っていたと言わんばかりにクラピカが立ち上がって。
｢後半は賛成だが前半は許せん。
騙す方が悪いに決まっている。｣
…一撃でトンパさんをのしてしまった。
｢クラピカ、A!!｣
どうやら私達には気付いていなかったらしく、驚いた声のレオリオ。
｢良かった、無事だったんだね。｣
私がまず駆け寄ると、後ろからクラピカもやってきて。
｢我々と手を組まないか?｣
最初に会った時とそっくりの、あの自慢気な微笑みでレオリオに言った。
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
